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WORKS 2016

日本酒造虎ノ門ビル

用途:事務所、店舗
所在地:東京都港区
延床面積:9,877.04m2
地上:11階

建築設計主旨

西新橋の虎ノ門駅の近く、外堀通り沿いに建つテナントオフィスビルです。
建物を直接利用する人だけでなく、外堀通りを行き交う人々にも何か貢献できないかと思い、「街路樹のような建築」とすることを試みました。
外堀通りに面した南側のファサードは、無機質な建物が立ち並ぶ街並みに潤いをもたらすため、街路樹の葉が舞い上がったかのようなモチーフとしています。
傾斜した緑色のガラスがパッチワークのように散りばめられたファサードは、時間の経過と周囲の環境の変化により多様な表情を見せます。
また、歩みに合わせて映りこみが変化するため、歩行者に面白い体験を提供します。
傾斜したガラスユニットは環境的にも機能しています。
傾斜部のサッシ側面には自然換気装置が組み込まれており、傾斜部がちょうど壁面に沿って流れる風の「ひっかかり」となるため、効果的に風を室内に取り込みます。
樹木のモチーフはインテリアにも展開しています。
エレベーター、階段室、トイレなどのコアの内部の空間は「幹」の中を連想させる暗い閉じた空間とし、逆に共用廊下やオフィスフロア部は、緑をアクセントとした「枝葉」のように明るい空間としています。
素材は随所にポイントで天然木を活用し、トータルとして「樹木」をイメージさせるオフィスとなっています。

構造設計主旨

整形で使いやすいオフィス空間を実現するため、シンプルにまとまった建築計画に即した合理的な構造架講としています。
南北に視線の通り抜ける開放的な空間を確保するため、事務所部の梁は19mのロングスパンを飛ばした計画としています。
柱は、建物剛性を向上させつつサイズを縮減するためCFT柱(コンクリート充填鋼管柱)を採用しています。
コンクリートを充填すると鉄骨柱の耐火性能が向上するため、耐火被覆厚を減らすことができ、柱の仕上げサイズの縮減にも貢献しています。
大地震時の大きな揺れのエネルギーを吸収する付加的な制振デバイスとして、極低降伏点鋼材を間柱中央部に用いた当社保有技術の鋼材ダンパー「LOYAL」を採用しています。
建物の高い耐震性能を建物ユーザーが認識できるよう、「LOYAL」は階段室内の見える位置に配置しています。

設備設計主旨

最新の競争力のあるオフィススペックとしつつ、地球環境にも優しい建物を実現するため、様々な設備的な配慮をしています。
照明は、全館LED照明とし、明るさセンサーにより照明の出力を最適に制御しています。
テナント部は、最終退出と連動した照明制御とし、共用部は人感センサーとタイマーによる照明制御とすることで、さらに消費電力削減に付与しています。
オフィス部の空調は、1フロア2テナントに対応し、利用者による各階14ゾーンのきめ細かい運転制御、温度調整が可能となっています。
BCP(事業継続計画)への対応として、屋上にビル用の非常発電機(200KVA)を設置し、停電が起きた場合でも防災、保安設備の稼動に必要な電源を40時間供給できるようにしています。
また、必要に応じテナントが追加で発電機を設置できるような仕様となっています。

担当

大成建設担当者
建築設計 高橋章夫、中塚大介、安田穣、大石悠平、川岡秀朗
構造設計 井上慶一郎、西尾博人(前期)、宮原貴昭(後期)、百武亜希子
設備設計 豊原範之、山口亮、有賀秀典(前期)、庄司朋子(後期)
電気設計 豊原範之、山口亮