等々力陸上競技場メインスタンド
- 用途:観覧場
- 所在地:神奈川県川崎市中原区
- 延床面積:21,853.86m2
- 地上:6階
建築設計主旨
川崎市発注による、等々力緑地の中に位置する等々力陸上競技場メインスタンドの建替計画です。
この計画では、従来の外に閉じた求心型のスタジアムでなく、求心性を保ちつつも、公園に開かれ、賑わいを発信し、地域とつながるスタジアムを目指しました。
地域とつながる 日本初ホーム重視左右非対称型スタジアム
建物とアプローチの軸線が交差する位置に、大きく開かれたゲートを配置しています。
遠くから良く見えるゲートが、サッカーのホームチーム側スタンドへのアプローチを内部に誘い、スタンドの熱気や賑わいを発信する場となります。
観客と選手がつながる 超前傾スタンド
超前傾スタンドにより、最前・最後列の座席位置を既存バックスタンドと変えることなく、収容人数としては4,000席増の規模拡大をしています。
4万人規模のスタジアムと比較しても、フィールド側に約15~20m近く、併用スタジアムでありながらも、専用スタジアムに劣らない臨場感あふれるスタジアムを実現しています。
公園とつながる 公園一体型スタジアム
外部デッキの植栽や再生木の軒天によって、公園の中のスタジアムにふさわしい景観としています。
構造設計主旨
観客をフィールドに近づけるために大きく前傾したスタンドは、全長約20mの斜め柱とV柱で構成し、シンプルな部材構成としています。
前傾形状によって斜め柱に生じる応力は、屋根端部に配置したバックスティケーブルに張力を導入することで相殺させています。
斜め柱とV柱はサイトPCaとし、運搬制約によって生じるジョイントをなくし、コスト・意匠性・部材精度の向上を図っています。
また、プレキャスト部材の接合部ディテールは、意匠性・施工性に配慮し、端部にベースプレートを埋め込み、鉄骨造と同等の誤差吸収・調整が可能なディテールとしています。
スパン方向の水平力に対しては、斜め柱・V柱がブレースの役割を果たしています。
桁行方向は、プレキャスト架構内に鋼管による水平ブレースを配置し、剛性と耐力を付加しています。
設備設計主旨
「公園一体型スタジアム」を目指し、様々な省エネ・創エネ技術を採用しながら、第一種公認陸上競技、Jリーグ・スタジアム検査要項といった特殊な要件を満たすスタジアムを実現しています。
大屋根の上には150kWの太陽光パネルを設け、日常の動力電源として利用しています。
商用電源が停電した際に自立運転による給電を行うシステムを構築し、省エネ・創エネと同時に災害時にも配慮しています。
新築の大型スタジアムでは初となるLED投光器をスタジアム照明に採用したことで大幅な省エネを実現しています。
屋根面で集水された雨水を浄化して便所洗浄水として利用したり、地中熱を利用した空調設備を採用することにより低環境負荷なスタジアムを実現しています。
BEMSの導入によるエネルギーの見える化を行い、省エネ意識を高めています。
また、インフラ途絶時でも使えるトイレ、飲料水を確保するため可搬型ろ過装置、72時間分の燃料を持った発電機を採用し、BCP対策としています。
担当
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設計 | 日本設計・大成建設設計共同企業体 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 川野久雄、高橋広直、宮本昌和、木幡理朗、武市章平、眞鍋修 |
構造設計 | 島村高平、小野森司、坂口裕美、川村学、花里紗知穂 |
設備設計 | 福田浩、吉田典彦、松本久美 |
電気設計 | 福田浩、小林徹也 |
テクニカルデザイン | 森田徹也 |
プレゼンテーション | 山崎信宏 |
社外受賞
2015年 | 第18回 グッドペインティングカラー 特別賞 |
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2016年 | 平成27年照明普及賞 |
2016年 | 2016年度 日本建築家協会優秀建築選(100選) |