柏たなか病院
- 用途:病院
- 所在地:千葉県柏市
- 延床面積:20,346.91m2
- 地上:6階
建築設計主旨
つくばエクスプレス・柏たなか駅前の広大な敷地に移転新築した総合病院です。
新興化が進む街の景観をリードする存在感を表現し、癒しの療養環境を提供する「ヒーリングホスピタル」をコンセプトに計画しました。
医療機能の「メディカルキューブ」、リハビリ・デイケアの「ケアキューブ」、ガラスで囲まれた開放的な「ガーデンアトリウム」で構成されています。
「キューブ」の構造をアウトフレームとすることで、外周部に柱の出ない室内空間とし、日射遮蔽効果や雨除け機能を併せ持つ合理的な構造体としています。
また、柱と梁の接合部に高強度コンクリートを採用し、端正かつ彫の深いファサードを実現しています。
「ガーデンアトリウム」は、自然光・樹木・水景・アロマ空調など人間の五感に訴える仕組みを備え、院外に出ることの少ない患者やスタッフが日常の中で自然を感じることができるように配慮しています。
更に、曲線を駆使し現代美術と融合したアートを体感できる斬新な外来待合や、緑が階段状に重なるリハビリ専用の庭など、療養環境をより豊かにするアイディアを盛り込んでいます。
構造設計主旨
スパン計画を9.0m×9.0mとしたラーメン構造を採用し、将来のレイアウト変更にも対応しやすい計画としています。
柱梁接合部には高強度コンクリートを使用しており、梁成を抑え室内空間を広く確保できるようにしました。建物外周には3.0m間隔で柱を配置し、ファサードを生かした耐震要素としています。
ケアキューブとメディカルキューブの間にはアトリウムを介しているため、2~4階に鉄骨造のブリッジを配置し、アトリウム上部のRC造の屋根にて各棟の地震力の伝達がスムーズに行われるように計画しています。
杭にはFT-Pile構法を採用しており、杭頭に生じる曲げモーメントを小さくし、基礎梁への負担を小さくしています。
設備設計主旨
災害などによるインフラ途絶時でも自立運用を可能とする設備システムを構築しています。
給水については、井水を飲適処理して上水にも使用しており、受水槽及び非常用排水槽は災害時にも使用できる容量を確保しています。
電力については、非常用発電機を屋上に設置して地下埋設タンクと燃料小出槽より燃料を供給し、病院機能維持に必要な重要負荷への電力供給を可能としています。
特徴的な空間であるガーデンアトリウムでは、デザインと一体化した設備計画としています。
昼間は南北のガラス面から自然光をふんだんに取り入れて開放的な空間とし、夜間は東西壁面の梁型に設置したLEDライン照明で柱及び梁を門型に照らすことで、反射光によるやわらかい空間を生み出しています。
居住空間の快適性を保つよう床吹出し空調と上部熱気抜き窓を設置し、南北の大きな窓面のコールドドラフト対策として吹出口とペリメーターヒーターを設置しています。
担当
担当 | |
---|---|
設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
ランドスケープデザイン | オンサイト計画設計事務所 |
照明デザイン | LIGHTDESIGN INC. |
サインデザイン | エモーショナル・スペース・デザイン |
総合受付・病室インテリア | Design Eight |
カラーアドバイザー | 小林祥晃(Dr.コパ) |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 松村正人、井内雅子、松村秀幹、加藤尚裕(前期)、岡崎啓祐(後期) |
構造設計 | 中川路勇、藤野宏道、関根夕貴 |
設備設計 | 堀雄二、鈴木庸平(前期)、上田泰史(後期) |
電気設計 | 堀雄二、宮嶋禎朗、丹羽章仁 |