彩の国東大宮メディカルセンター
- 用途:総合病院
- 所在地:埼玉県さいたま市北区
- 延床面積:23,021.60m2
- 地上:6階
建築設計主旨
本計画は、上尾中央医科グループの急性期病院の1つで、埼玉県がん診療指定病院である東大宮総合病院の施設老朽化に伴う移転新築計画です。
移転に際して、救急体制の更なる充実(ICU8床の新設)と、がん治療体制の強化(放射線治療、外来化学療法、緩和ケア病棟)を図っています。
敷地のレベル差を有効利用し、高さ制限(20m)がある中で、6階建を実現することで、各部門間の迅速な連携と機動性強化が可能な低層部と、周囲に広がる緑豊かな見沼田んぼの景色を病室に取り入れた快適な病棟を実現しています。
外壁には素材感のある煉瓦タイルやアーチを用いて、近隣にある風車や緑豊かな見沼田んぼに馴染むようにしています。
内部においては、要所に大きな開口を設け周囲の緑を効果的に室内に取込んだり、内装に自然素材やアースカラーを用いる事で、半外部的で開放感のある空間を創出しています。
また、患者が手にしたり目にとめたりする家具やアートの1つ1つについても、トータルにコーディネートすることで、インテリアのイメージをより高め、散策したくなるような空間となっています。
「水と緑」をコンセプトに、どこか懐かしくあたたかさが感じられる「患者への癒し」を追求したヒューマン・ホスピタルを実現しています。
構造設計主旨
構造設計上の重要点として、「拠点病院に必要な高い耐震性の確保」「厳しい高さ制限への対応」「建築計画に対応したスパン長さ」の3点が挙げられます。
これらを解決するために、ハイブリッドTASS免震にオイルダンパーを付加した高性能免震を採用し、地震力の低減を図っています。
その結果、梁部材寸法を抑えながら9mx9mのフレキシブルなグリッドを実現しています。
X、Y両方向を均一なスパンで計画し、部材断面を合理化することで、経済的で耐震性の高い構造となっています。
エキスパンションジョイントで連結されたリニアック棟は、厚さ1400mm以上の極厚のRC壁により、医療機器から発生する放射線の遮蔽を行っています。
設備設計主旨
旧病院において東日本大震災による計画停電を経験したことから、災害時の病院機能維持と、環境に配慮した省エネルギーシステムの採用、患者に優しい環境の創出を設備計画のテーマとしています。
ライフラインとしては、非常用発電機や井水の利用などに対応しインフラ途絶時に必要な電力、給水、排水を3日間確保可能な計画としています。
そして、停電時の室内環境としては重要室を最優先とし、救急外来、手術室、ICU室、無菌室の空調を発電機系統とし、さらに循環空調により清浄度を確保しています。
また入院患者への環境配慮としては、病室の照明環境の改善を図り大手照明メーカーと共同開発した病室用のLED間接ベッドライトを設置しています。
これにより患者にグレアの少ないより快適な光環境と消費エネルギー削減を実現しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 岡本憲文、日置敏雄、遠藤僚、松村秀幹 |
構造設計 | 中川路勇、池間典一、武谷政國 |
設備設計 | 堀雄二、田村健 |
電気設計 | 堀雄二、箭内伸司 |
インテリア | 大野博文、徳野博子 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、小倉満 |
テクニカルデザイン | 須藤拓、野田博文 |