G.Itoya(銀座・伊東屋)
撮影:新建築社
撮影:新建築社
撮影:新建築社
撮影:エスエス東京
撮影:新建築社
撮影:近代建築社
- 用途:物販店舗、事務所
- 所在地:東京都中央区
- 延床面積:4,195.46m2
- 地下:2階/地上:13階
建築設計主旨
文房具専門店「銀座・伊東屋」の建て替え計画です。
旧ビルの象徴であったステンレスのファサードを内部に折り込み、ビルの内側を通じて背面の通りまで貫通させることで、銀座のまちと繋がる拡張されたインターフェイスとして再構築しています。
8mという敷地の狭い間口が新しい価値に転じ、表も裏もなく、誰もが入りたくなる心地良い「ガレリア(みち)」としています。
「クリエイティブな時を過ごす心地よい空間」をコンセプトに従来の文房具を売るだけの店舗から、目的を持たない通行人をも引き込み、予期せぬ特別な体験・発見が出来る場としています。
8つのシーンの売場をはじめ、多目的ホール・ビジネスラウンジ・レストラン、そこで提供する食材を生産する野菜工場も設けています。
565mm厚の外壁の中に設備と構造体を内包する「メカニカルウォール」、高さ200mmの小さな梁やダクトが表れない換気等を徹底し、まちと連続するみちに必要な大きな開口部と内部空間を用意しています。
鮮やかで高密度なファサード建築が林立する銀座のまちに「ガレリア」が入り込み、銀座を行きかう人々にとって特別な時間を過ごせる場所となることを目指しました。
構造設計主旨
建物高さ56m、建物間口8m、塔状比7のスレンダーな形状の建物を安全に成立させるため、短辺方向の架構形式は「心柱(通し壁柱)」を用いた制振構造としています。
建物中央部に地階から最上階まで全層を貫通する剛強な鉄骨造壁柱を配することで、大地震時の変形制御を図るとともに、特定層崩壊などに対するロバスト性を付与しています。
また、鉄骨造壁柱最下部は、ゴム支承を設けて固定度を緩めることで、地震時に鉄骨造壁柱が負担する力を調整しています。
ガレリアの実有効空間を最大限確保するため、柱はビルト材による□-390×500の扁平柱とし、柱型が内部空間に表れないようにしています。
柱を2400mmピッチに配置し、1階から5階までCFT造としてコンクリートを充填することで柱の軸剛性を高めています。
また、既存地下躯体をカウンターウエイトとして新設地下躯体と一体化させ、建物の重心を低く抑えるとともに、地震時の建物の引抜抵抗に利用しています。
中央通り側のガラスダブルスクリーンによる透明感の高いファサードに溶け込む細径のブレース型オイルダンパー(外形φ267.4mm)を採用することで、ねじれ変形を効果的に抑制し、最大変位を低減させるとともに、ファサードデザインとの融合を図っています。
設備設計主旨
階段やエレベーターなどの垂直動線と、構造体である柱、設備配管などの設備シャフトを外壁に集約した「メカニカルウォール」を採用し、敷地の間口の狭さを活かした空調方式である壁掛け式空調をメカニカルウォール内に納めています。
壁掛け空調機の下部は壁を斜めに設え、意匠性と良好な空調環境の確保に配慮しています。
ダブルスクリーンのドラフト効果を利用した自然換気風の導入や、各階の大きな開口部や地下ホールのトップライトからの自然採光など、災害への取り組みだけではなく環境に配慮した取り組みを行い、安心で快適な環境を整えています。
担当
大成建設担当者 | |
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設計監修 | 久保勝彦、平井浩之 |
建築設計 | 中藤泰昭、面高宏樹、今村水紀、藤井理絵 |
構造設計 | 藤永直樹、川口恵、柴田宜伸 |
設備設計 | 高木淳、斧田浩一、岡部美由紀 |
電気設計 | 高木淳、鈴木秀佳 |
社外受賞
2016年 | グッドデザイン賞 |
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2016年 | 2016年度 日本建築家協会優秀建築選(100選) |
2016年 | 第26回 AACA賞 |
2017年 | 第43回 東京建築賞 東京都知事賞 |
2017年 | 平成29年度 日事連建築賞 日事連会長賞 |
2017年 | 第18回 日本免震協会賞 作品賞 |
2017年 | 第28回 JSCA賞 新人賞 |