ENDO堺筋ビル
- 用途:事務所
- 所在地:大阪府大阪市中央区
- 延床面積:4,544m2
- 地下:1階/地上:9階
建築設計主旨
本計画は、照明メーカーの建築としてのアイデンティティを表現することが求められました。
メインファサードのカーテンウォールは、前面の大通りである堺筋の直線的な要素を取り入れ、水平方向を強調するデザインとしています。
その横無目はルーバー形状とし日射を遮るとともに、LEDアッパーライトを埋め込み、ルーバー下面を照らしあげることで連続した光の帯を創りだしています。
また中央可変制御により各ルーバーごとにON/OFFの切り替えを可能とし、さまざまな夜の表情を創りだすことができます。
熱負荷に対してはLow-Eペアガラス、日射反射型シルバーロールスクリーン、簡易エアフローを採用し、空調の省エネルギーを実現しています。
堺筋を通行する人々に対しての顔となる足元の部分については、ピロティを設けることで開放性を確保し、そこに様々な利用を想定したショーケースを配しています。
またピロティと空間的に連続したエントランスホールは、全体をアルミ複合板仕上とし、様々な照明や多用途を想定した特注家具を設置することで、外部に開かれた明るい空間としています。
オフィス部分については、2階が貸会議室、8・9階が遠藤照明本社機能、その他が貸事務室となっています。
インテリアは基本的にモノトーンとし、外壁と合わせて全体を統一した色味としています。
8・9階の遠藤照明本社エリアについては、執務室や役員エリア、インナーテラスなど用途に応じて使い分けています。
特に役員エリアについては、和紙織クロスやサイザル調ビニルタイルなどを用い、従来のオフィスにはない雰囲気を作り出しています。
構造設計主旨
事務所用途として利用する執務空間内をフレキシブルに利用する為に、基準階のスパンを14.45mの無柱空間としています。
ロングスパン架構となるため妻面位置にシェイプアップブレースを配置して効率的に剛性と耐力を確保した計画としています。
建屋角部は柱を設けず片持ち梁により床を支えることによって視認性を確保しています。
メインストリートである堺筋に面するフレームは、鋼管柱が3.6mピッチに並ぶリズミカルなファサードとなっています。
このフレームはスパン間隔が短いため、継手箇所数を抑えるべく、サイドプレート取り付けによる梁端部拡幅ノンブラケット工法としており、梁端部に先行して、拡幅始端位置で降伏するように設計しています。
設備設計主旨
建築設計では照明メーカーらしい建物を表現することが求められましたが、単に照明を多様することは昨今の省エネ動向から相反することになります。
そこで、遠藤照明が開発した無線調光システム、大成建設技術センターZEB実証棟でも導入されている調光調色制御、遠藤照明と大成建設で共同開発した大成LED照明を採用することでエネルギーを抑えると共に最適な執務環境を実現しています。
執務室以外も照度シミュレーションにより器具数を最小限に抑え、イニシャル・ランニングコストの縮減に寄与しながらも明るさ感を確保し、光の演出と省エネを成立させています。
照明以外にもヒートポンプ外調機を用いた可変風量制御、インバーターによる回転数制御などを用いて省エネと快適な温湿度環境を両立させ、快適な施設作りを行っています。
その他、発電機の24時間運転や非接触ICカードを用いた入退室管理なども採用し、災害対策やセキュリティ面へも配慮しています。
担当
担当 | |
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基本設計・実施設計以降デザイン監修 | 株式会社日建設計 |
実施設計 | 大成建設株式会社関西支店 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 平井浩之、荒木宏之、関山泰忠 |
構造設計 | 山﨑英一、板矢崇志、杉山雄亮 |
設備設計 | 西村英俊、湯浅孝 |
電気設計 | 西村英俊、坂下泰士 |
設計支援 | 高橋章夫、勝田知世(建築) 小林信郷 (電気) |
社外受賞
2016年 | 第8回 建築人賞 奨励賞 |
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