コクーン2
- 用途:ショッピングセンター
- 所在地:埼玉県さいたま市大宮区
- 延床面積:63,444m2
- 地上:3階
建築設計主旨
さいたま新都心駅東側は、事業者である片倉工業が祖業である製糸業を長年営んできた場所です。
同社は当地においてこの度のコクーン2、2004年開業のコクーン1、及び既存施設をリニューアルしたコクーン3を中心とした施設から成る「コクーンシティ」を営んでいます。
施設名のコクーンは、「繭(まゆ)」という意味であり、製糸業のイメージやこの地で長い歴史を紡いできたという想いを込めています。
コクーン2の建築にあたっては、繭から紡ぎだされる生糸や絹糸、それにより生み出される柔らかな布をイメージし、外装デザイン、内装デザイン、サイン、そしてランドスケープデザインを計画しています。
また、街区内を東西に横断していた車道を廃止し、既存のケヤキ並木を一部保存し、遊歩道として再整備することで歩車分離を実現しています。
このような手法で、土地のもつ「記憶」を継承しつつ、新たな解釈を加えることで、人々の記憶にとどまるような施設となることを目指しました。
更に、施設のメイン入口には、さいたま新都心の顔にふさわしい大開口のゲートを設けており、来街者をもてなします。
内部商環境デザインにおいては、建築のコンセプトから導き出されたダイナミックな空間構成に有機的な美しさを融合、共鳴、調和させながら未来を紡いでいく街を表現しています。
柔らかなフォルムとナチュラルな素材感を組み合わせ、洗練された明るく健康的で包み込むようなやさしさを創出しています。
構造設計主旨
経済性とテナント割のフレキシビリティを考慮し、基準グリッドは9m×12mで構成する計画としています。
架構形式は両方向ブレース構造を採用することで高い剛性と耐力を確保しています。
基礎形式はGL-12mの細砂層を支持地盤とする深層地盤改良を施した上で直接基礎を採用しています。
メインエントランスは、ガラスカーテンウォールの枠となるアーチ状の鉄骨部材とガラスカーテンウォールを支持するマリオンが本体鉄骨と複雑に接合するため、3次元応力解析にて部材断面を決定しています。
傾斜したガラスカーテンウォールを支持するマリオンは最大長さ約15mの平鋼(FB-60×280)の一本材を使用し、常時および暴風時に面外曲げが作用するため、横座屈補剛材としてφ22のロッド材を取り付けることで、十分な曲げ耐力と軸耐力を確保するとともに、BIMを活用し接合部のディテール検証を行い透明度の高いファサードを実現しています。
設備設計主旨
空調熱源は、高効率ターボ冷凍機とガス吸収式冷温水発生機を併用し、エネルギーのベストミックスによる電力ピークカットを行なっています。
さらにガス吸収式冷温水発生機の一部は、常用発電機(CGS)から発生する排温水を利用するジェネリンクを採用し、省エネルギーを図っています。
その他、環境配慮手法として、客用エリアのLED照明の採用、便所洗浄水の中水利用などを行っています。
コクーン2はコクーン1と連絡ブリッジで直結しており、通信、放送、ITVなどの設備システム連系を行い、管理系統の集約化を行っています。
ランドスケープ設計主旨
屋外にも小規模の飲食店舗等を配置し、外部空間の核となる街区中央の広場に向かう通路の賑わいを創出しています。
敷地全体に季節感のある植栽とベンチやテーブルなどふんだんに取り入れることで、訪れた人たちが賑わい、憩い、自然が常に感じられる「街」としてデザインしています。
「そぞろ歩きを楽しみながら、新たな発見がある、公園のような外部空間」として、日常と非日常の両方が楽しめる場を目指しました。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
ランドスケープ設計協力 | 有限会社オンサイト計画設計事務所 |
外構サイン設計協力 | 株式会社竹内デザイン |
内部商環境デザイン・内部サイン | 株式会社乃村工藝社 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 山本実、高島謙一、服部光宏、眞木和孝 |
構造設計 | 藤永直樹、川口恵、柴田宜伸 |
設備設計 | 福田浩、中砂克郎、永吉敬行 |
電気設計 | 福田浩、岡本隆、星野顕 |
大店立地法 | 半澤武夫 |