あわしま堂栃木佐野工場
- 用途:工場
- 所在地:栃木県佐野市
- 延床面積:12,880.67m2
- 地上:3階
建築設計主旨
西日本を拠点とした老舗和菓子メーカーの関東拠点工場の計画です。
自然豊かな佐野の山々を背景にした工業団地の入口に位置します。
これまでにない新しい開かれた工場として、「つなぐ建築」をコンセプトに環境・地域・伝統・生産と各テーマにおいて固有のつながりを生み出す建築を考えました。
佐野の伝統建築を踏襲した切妻の連続体は周囲の山並みと呼応し、外構では、竹林や雑木林など里山の自然を敷地内に引き込んでいます。
日本百名水に選定されている佐野の水系を井水により全館で利用し、余剰水は来館者への提供とせせらぎとして庭のビオトープで活用しています。
人々が集う縁側空間、食育スペースを併設した道の駅のような直売所、生産ラインと並走する見学空間、見学説明スペースにも使える切妻の食堂空間が建物と地域をつなぎます。
昔使われていた和菓子づくりの道具である木型や刷り込み板の紋様をサインやインテリアの主要要素として再生し、伝統の継承、従業員の愛着と企業ブランドの向上を図っています。
将来的には2期、3期と雁行しながら切妻フォルムが拡張され、森と建物が混ざり合った街並みが創り出されます。
構造設計主旨
計画当初より将来の2期工事及び3期工事へと続く拡張計画が想定されていたため、増築が予定されている側面は偏心基礎とし、外周部に基礎型が出ない計画としています。
また、将来生産ルートを避けながら耐震性に優れた座屈拘束ブレースを計画し、構造性能と拡張性を両立した計画としています。
建物前面の切妻屋根は外装材や取り合う胴縁の位置に合わせて、片持ち梁に約10度の角度をつけることで、見付幅300mmの象徴的なファサードを実現しています。
また、管理棟1階を支える柱はスパン4m程度の列柱によって計画し、縁側に設けた意匠柱との親和性を図り、和モダンを実現する計画としています。
設備設計主旨
厚生エリアは「和のぬくもり」を照明コンセプトに、光源は電球色を中心に選定し、壁面や樹木など素材やシルエットを照らしあげる演出を行っています。
また全館LEDを採用し、照度を抑えながら明るさ感を確保した省エネ計画としています。
食堂は大空間のため、空調用開口の形状と位置を工夫し、ペリ空間は梁と一体化したチャンバー構成により、コンパクトかつ美観性に優れた吹出し口としています。
生産エリアは作業性を考慮して昼白色の光源を採用し、食品工場であるため埃だまりの少ないクリーンフーズ用LED照明を選定しています。
空気の取入れは、中性能フィルターを介し、防虫対策を行っています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 平井昌志、古市理、 村井勇介、鬼頭朋宏 |
構造設計 | 有山伸之、萱嶋誠、野口裕介 |
設備設計 | 岸野豊、室賀雪絵 |
電気設計 | 岸野豊、遠藤晃、宮田大地 |
社外受賞
2016年 | 第50回 SDA賞 商業サイン部門 入選 |
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2016年 | 第50回 SDA賞 空間・環境表現サイン部門 入選 |
2016年 | 第4回 佐野市水と緑と万葉のまち景観賞 |