大成建設技術センターZEB実証棟
- 用途:事務所
- 所在地:神奈川県横浜市戸塚区
- 延床面積:1,277.32m2
- 地上:3階
建築設計主旨
都市型ZEBをめざして
ZEB実証棟は、都市型ZEBの実現と普及をめざし、実際に働きながらZEBに関する技術の実験・検証を行う施設です。
現在ZEBの多くは、大自然の中で大面積の太陽電池を設置する郊外型のZEBが主流です。しかしエネルギーの大部分は都市で消費されており、都市におけるZEBの実現が不可欠です。
建物は地上3階建てと小規模設定ですが、基準階プランや断面計画など、都市における中小規模オフィスに適用可能な構成としています。
一般的なオフィスとの差異は、太陽電池の壁面への積極的な設置、バルコニーの導入、照明と空調のタスク&アンビエント化に対応する逆梁天井レスの断面計画であり、自然エネルギー利用の最大化と消費エネルギーの最小化を意図しています。
これらの試みにより、米国グリーンビルディング協会が開発・運用するLEED-NCにおいて日本初のプラチナ認証を取得しました。
エネルギー問題の解決という社会的要求に応えるソリューションの開発および提供を使命とし、外壁をはじめ様々な環境配慮技術の交換可能性を担保、働き方を含めた総合的な環境性能の検証を実施します。
ZEBを目標とした技術の探求、実験、検証を継続的に積み重ね、その成果を社会に還元することを目的としています。
構造設計主旨
密集市街地におけるオフィスビルを想定し、所定の変位量を超えると減衰性能が切り替わるパッシブ切替型オイルダンパーを用いた都市型小変位免震を採用しています。
発生頻度の高い震度5強までの中小地震には、低減衰で通常の免震建物と同等の免震効果を発揮し、居住者の安心感を確保します。
震度6を超える大地震では、高減衰に切り替わり免震層の変位を200mm程度に抑え、建物の安全性を確保します。
1階エントランスホールの柱には直径220mmの超高強度コンクリート(Fc300)を用いたスレンダーなPCa柱(Tas-Fine)を採用し、開放感のある空間を実現しています。
免震の優位性を活かすとともに耐震要素をコの字形に配置し、ねじれ変形を抑制します。
11mスパンのオフィスには梁せい650~750mmの鉄筋緊張のPCaPS梁(T-POP梁)を用い、階高を抑えた無柱空間としています。
逆梁とすることで、ZEBを実現する環境技術を活かす床組を構築しています。
設備設計主旨
年間エネルギー収支0(ゼロ)を実現するため、建築デザインと融合した設備計画により消費エネルギーの最小化を図ると共に、建物を余すことなく使った創エネを計画しています。
照明分野では、新規開発の採光装置(T-Light Cube)と高効率LEDを組合せた低照度タスクアンビエント照明システムにより、最適な光環境を維持しつつ、照明エネルギーの最小化を図っています。
空調分野では、燃料電池の排熱を利用した躯体放射冷暖房とパーソナル床吹出空調を組合せることで、執務者の温冷感満足度を高めつつ、効率よく空調負荷を処理します。
創エネ設備には、特徴の異なる2種類の太陽光発電設備を採用しています。
屋上には、高効率な発電が特徴の単結晶シリコン型パネルを、壁面には、デザイン性に優れ、将来発電効率の大幅な向上が期待される有機薄膜型パネルを設置し、年間エネルギー消費量相当分を発電する計画です。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 杉江大典、関政晴、岡崎啓祐、三浦有美子 |
構造設計 | 島田博志、水谷太郎、村松晃次、立山香織 |
設備設計 | 熊谷智夫、梶山隆史、田中拓也、吉田三香 |
電気設計 | 熊谷智夫、山口亮 |
社外受賞
2014年 | 平成26年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰 |
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2014年 | 第5回 省エネ・照明デザインアワード2014 優秀事例 |
2015年 | グッドデザイン賞 |
2015年 | 第59回 神奈川建築コンクール 一般建築部門 アピール賞(環境) |
2016年 | 第6回 サステナブル建築賞 事務所建築物部門 審査委員会奨励賞 |
2016年 | 日本建築学会作品選集2016 |
2016年 | 第28回 日経ニューオフィス賞 関東ニューオフィス奨励賞 |
- Technology & Solution:
- 大成建設技術センターZEB実証棟