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WORKS 2014

大手町タワー

用途:事務所、ホテル、店舗、駐車場
所在地:東京都千代田区
延床面積:198,467m2
地下:6階/地上:38階

建築設計主旨

都市再生特別地区を適用した複合再開発プロジェクトです。
大手町エリアの玄関口である計画地は、地域の賑わいの軸である「仲通り」の終着点に位置し、主要地下鉄5路線の駅に囲まれた、地上と地下の歩行者ネットワーク上枢要な場所です。
大手町タワーは3つの地域貢献のテーマ「環境に配慮した街づくり」「地上と地下の歩行者ネットワークの形成」「国際交流拠点の構築」により、活力と癒しに満ちた先導的な都市の姿をつくることを目指しました。
建物は高層部のオフィスとラグジュアリーホテル「AMAN TOKYO」、地下の商業施設「OOTEMORI」で構成されます。地下2階から4層に吹抜けた大空間「プラザ」は、地下鉄5駅を結び、地下とは思えないほどの自然光溢れる公共的な広場として整備され、地上の「大手町の森」と一体化した中間領域を創出しています。
「大手町の森」は、都心のクールスポットを形成し、皇居からの緑や生物のネットワークを地域に展開すると同時に、丸の内から繋がる賑わいの軸「仲通り」を大手町地区に延伸するべく歩行者ネットワークの起点として整備されました。
大手町タワーは再開発が連鎖的に続く大手町エリアの人々に新たな価値観を生みだす憩いの場を提供します。

ランドスケープ主旨

東京の最も高密度な都市空間に創出した「大手町の森」は、従来の人工的な広場整備とは一線を画し、都市環境を改善し、新たなアメニティを提供する、野生をあわせ持った自然の森です。
3,600m2という広さの中で都市の賑わいと自然感を最大限高めるため、緑をまとめて配置し、歩行者動線を1か所に集約しています。
植栽の設計にあたっては、「混交」「粗密」「異齢」という自然の森の3つの法則を適用し、緩やかなアンジュレーションと春植物などの地被類を配置することで、変化に富んだ景観と充実した生態系を実現しています。
さらに、都心での自然の森の創出という課題に対し、森の一部をあらかじめつくり出す「プレフォレスト」というかつてない取組みを実施しました。
地形や人工地盤などの条件を計画地と同等にした上で、3年かけて森の育成や設計・管理手法を検証し、改良を重ねた樹木を最終的に計画地に移植しました。

構造設計主旨

複合ビルである大手町タワーは、上層部のホテルとオフィスにはさまれた32階と、設備機械を備えた4階の2層で、メガトラスの梁によって各機能に適した柱スパンへの構造切替えをしています。
低層部では、地下鉄5駅のステーション機能強化を担う地下通路と、地上の「大手町の森」とを繋げたゆとりある大空間をつくるという建築計画に応えるため、いかに空間を阻害することなく、高い耐震性を持つ安全な構造架構を組み上げるかが構造設計の課題でした。
地下2階から地上3階までの吹抜けを貫く石柱は、引張強度780N/mm2の超高強度鋼と、充填コンクリートにFc150 N/mm2の超高強度コンクリートを組み合わせた世界最高クラスの強度となる超高強度CFT柱を採用しています。
これによりスパン14.4mと22.0mのグリッドからなる「プラザ」と「大手町の森」をダイナミックに繋ぐことを実現し、更にはタワーから吹き降ろすビル風から森を守る巨大キャノピーも支えています。

設備設計主旨

外装はアルミキャストのフィンとLow-eペアガラスを採用し、室内環境に対して日射負荷を抑制しています。
オフィスの空調はブラインド等を組み合わせた単一ダクトエアバリア方式とし、外装からの熱負荷抑制と窓廻り温熱環境の向上を図っています。
環境性能指標については、事務所PAL値は基準値-27%となり段階3を達成し、ERRについても各種省エネルギーシステムの採用により建物全体で段階3(基準値-35%以上)を達成しています。
BCP対応としては、特高受変電設備、発電機設備、通信機械室等を地上階に設けることで主要機器に対する水害対策を行い、オイルタンクは72時間分の容量を確保しています。
また、下水本管が被災した場合は、汚水管のバルブ切り替えにより厨房除害・中水処理設備にて汚水を処理し、トイレが継続して使用できるように計画しています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
外装デザイン KOHN PEDERSEN FOX ASSOCIATES
ランドスケープ基本デザイン MICHEL DESVIGNE PAYSAGISTE
ホテルインテリアデザイン KERRY HILL ARCHITECTS
照明デザイン LIGHTING PLANNERS ASSOCIATES INC.
商業環境デザイン SIMPLICITY
大成建設担当者
建築設計 田口晃、横手真一郎、国保潤、丹羽貴之、前田有一、岩﨑利幸、村松圭佑、松﨑秀樹、尾畑剛、中塚基子、木村新、木村慶太、廣川昭二、高橋秀秋、舌忠之、池澤孝哉
構造設計 松本修一、河本慎一郎、小室努
設備設計 熊谷智夫、星野亮、村田義郎、斧田浩一、大木泰祐
電気設計 熊谷智夫、山口亮、高木淳、西村英俊、鈴木秀佳、小林卓哉、
インテリア 大野博文、吉富公慈、星絵里香
ランドスケープ 蕪木伸一、山下剛史、神田祐樹、林秀一郎、木川薫
ホテル施設計画 野沢弘樹、谷口智子、吉田武史

社外受賞

2014年 平成26年度 CFT構造賞
2014年 第30回 都市公園コンクール 国土交通大臣賞
2015年 第13回 環境・設備デザイン賞 環境デザイン部門 最優秀賞
2015年 第35回 緑の事業活動部門 国土交通大臣賞
2015年 第25回 AACA賞 特別賞
2016年 日本建築学会作品選集2016
2016年 平成27年度 日本造園学会賞 設計作品部門
2016年 第42回 東京建築賞 優秀賞
2016年 第57回 BCS賞
2017年 第16回 屋上・壁面緑化技術コンクール 屋上緑化部門 環境大臣賞
2018年 Arcasia Awards For Architecture 2018(AAA2018)