メルクロスビル
- 用途:事務所、店舗
- 所在地:東京都中央区
- 延床面積:6,987.51m2
- 地下:1階/地上:9階
建築設計主旨
1644年(正保元年)より日本橋の現在の場所に店を構えてきたメルクロス社の新本社ビルです。
日本橋の新たなランドマークに相応しい個性を備えた建築として、伝統的な日本建築の持つ美意識と快適さの知恵を先端技術により具現化しています。
中央通り側の東面外装は、縦格子をイメージしたアルミルーバーを設け、ビルファサードを強く印象付けています。
部分的に強化合わせガラスを挟み込むことで、中央通りに対してフロア(階)毎の分節を感じさせない大きなスケールのファサードを造りだしています。
このルーバーは建物の熱負荷削減にも寄与しています。
南・北面の外装は壁面をグリッド状の格子フレームで分節し、隣接する街並みにあわせたスケールとしています。
腰壁部分は6m×2m大版の迫力あるアーキテクチュラルコンクリート(カラーコンクリートのPCaパネル表面をブラスト処理したもの)で構成され、表面には、メルクロス社の伝統的な看板商品であった「扇子」をモチーフにした高さ50mmのレリーフを施すことで外装全体に深い陰影の表情を持たせています。
1階エントランスホールには、メルクロス社で過去に使用されていた扇子製作用の版木をライトアップし、アートとして再生させています。ホールには繊細な光障子や木組みの天井などが施され、来訪者を迎え入れています。
構造設計主旨
ローコストで高い耐震性能を発揮する大成式座屈拘束ブレース(シェイプアップブレース)を採用し、鉄骨造のブレース付ラーメン架構とすることで、執務空間にロングスパンの無柱空間の創造と高い耐震性能の確保を実現しています。
地下は、外周部の鉄骨鉄筋コンクリート造耐震壁付ラーメン架構と内部の鉄骨造ラーメン架構を組み合わせた構造架構としています。
基礎は、GL-25m以深のN値60以上の強固な細砂層を支持層とする場所打ちコンクリート杭による杭基礎としています。
設備設計主旨
「環境に配慮した設備」として、省エネルギーや自然エネルギー利用を行うとともに、テナントオフィスビルとして、小テナントにも対応できる柔軟性、災害時のBCP対策にも配慮しています。
省エネ設備としては、高効率LED照明の採用に加え、適正照度制御(執務室)、人感センサー制御(トイレ、給湯室)により照明エネルギーを低減しています。
空調は高効率マルチエアコン+温調型全熱交換器に光触媒空気清浄器を組み合わせ、省エネと室内空気環境の最適化を行っています。
また、階段室のドラフトを利用した自然換気システムで自然エネルギーを有効に利用しています。
屋上排気口が外気条件により自動で開閉し、各階の自然換気口の開放で外気が導入されるシステムです。
BCP対策は、250KVAの発電機で30時間、共用部照明・本社の照明コンセントなどが使用できるようにしています。
上下水道途絶時も、貯留水と非常用汚水槽により本社階のトイレが使用可能です。
担当
担当 | |
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基本設計 | 株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ |
実施設計・工事監理 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 井深誠、中藤泰昭、藤本鉄平、伊藤大輔、茂見彩 |
構造設計 | 新田隆雄、小林治男、野々山昌峰 |
設備設計 | 豊原範之、梶山隆史、吉田三香 |
電気設計 | 豊原範之、岡本隆 |