光のプラザ

外来待合

つながるスタッフステーション

光のパティオ

建築設計主旨

愛媛県松山市の中心地に位置する827床を有する県立病院の現地建替計画です。
医療機能を最大限発揮できる病院、変化に強い病院、災害に強い病院、環境にやさしい病院をコンセプトに、「県民の安心の拠り所」となりえる施設をハード・ソフト面から総合的に構築・提供する大成建設初の病院PFI事業です。
資金調達及び経営、技術的ノウハウを駆使した既存施設の解体や病院施設等の設計、改修･新設及び医療機器等の調達並びに維持管理･運営を実施し、より質の高い病院サービスを効率的、効果的かつ安定的に提供することを目的としています。
オーバーハングされた特徴的な外観デザインは、既存運用を継続したまま現地建替えを可能にするために既存建物上空容積を有効に使った工夫の一つです。
敷地制約のある中、最新の高度医療提供に必要な容積と平面の確保、北側外壁のセットバックによる周辺環境への配慮、大規模施設でありながらホスピタリティの高いユニバーサルでわかりやすい建築のしかけと明快な部門構成を実現しています。
また、病棟では『つながるスタッフステーション』と名付けた病室に沿った連続したスタッフステーションを計画し、看護動線の短縮・連携強化、患者さんの見守りに配慮しています。併せて災害基幹拠点病院にふさわしい免震構造･ヘリポート･各種機能維持設備を装備し災害時の施設強化も図っています。

構造設計主旨

災害時においても医療機能を支え続けられる施設として、中小規模の地震から性能を発揮できる高性能基礎免震構造(ハイブリッドTASS免震＋オイルダンパー構法)を採用しています。
また、既存建物の上空にオーバーハングさせた大胆な建替え手法を実現する為、後付が可能なオーバーハング部分を支える高強度PCa細柱（TasFine）を新規開発し、柱の断面を究極に細くすることで、明るく開放的な「光のプラザ」を創造しています。
将来の医療制度の変化に柔軟に対応できるよう、CS.Beam構法（RCと鉄骨の複合構造梁）とユニーク構法（鉄骨梁がRC柱を貫通する複合構法）によるロングスパン（約16m）を採用し、柱による平面の制約をできる限りなくしています。
地震力に対しては、エレベーター・階段・メイン設備シャフトを集約したコア廻りに必要な剛性･耐力を確保した耐震コア柱を設置し、力の流れが明快となる合理的な構造計画としています。

設備設計主旨

災害に強い病院として、想定される様々な災害に対しても医療機能を維持し続けられる安全・信頼性の高い設備システムを構築しています。
各種インフラ設備の多重化、災害時対応各種貯留槽及び各種処理設備、災害時における3日分の予備設備システム（非常電力）などを備えています。
更に太陽光パネル（100kW）や自然換気、雨水利用、中水利用などを行い、災害時対応と同時に、省エネルギーにも配慮しています。
また、建物の最頂部には、飛行場外離着陸場と手術部門に直結するエレベーターを整備し、遠方からの緊急患者を迅速に受け入れることを可能としています。
病棟における4床病室では、大成建設オリジナルの簡易型パーソナル空調システムを導入し、4床室でありながら、個々の空調を管理し、個室さながらの快適な療養空間を創造しています。
さらに、病棟患者アメニティへの配慮として、ホテル等と同様、無線LANサービスが使える設備システムも採用しています。

インデリアデザイン主旨

県民・市民になじみのある地域に潜在した色合いやデザインモチーフを調査・抽出し、患者さんや職員にとってストレスフリーとなれるホスピタリティの高いインテリアをめざしています。
愛媛県産材であるヒノキや杉をデザインウォール（光のパティオ）や縦ルーバー(光のプラザ)に積極的に用い、木のぬくもりと優しさが感じられるしつらえとしています。
また、床材には、石畳をモダンにコラージュしたパターン張りとすることで親しみと新しさが感じられる空間としています。
建物全体の中心に計画された大きなトップライトを持った吹抜空間「光のパティオ」は、大規模な建物におけるわかりやすさと使いやすさを実現する空間の目印です。
これにより、患者さんが迷うことなく目的地までたどり着けるウェイファインディングの効果を促します。
外来待合空間は、緑豊かな地域性を取り入れたストレスを感じさせない明るく清潔なインテリアを心がけています。

担当

大成建設担当者
建築設計	松村正人、岡本憲文、倉石敏子、坂口秋一、西村浩一、濱野博康 、伊藤真樹、井上雅仁、大山文子
構造設計	中川路勇、島村高平、武谷政國、中島和華子、坂口裕美、尾畠賢治、渡邊諭
設備設計	堀雄二、龍英夫、田村健、青木正晴、久保田祥彰、小畠忠久、鈴木真人
電気設計	堀雄二、森義明
インテリア	大野博文
ランドスケープ	蕪木伸一、小池亘

社外受賞

2020年	第17回 公共建築賞 優秀賞