西武鉄道 所沢駅
- 用途:駅舎、商業施設
- 所在地:埼玉県所沢市
- 延床面積:4,155.40m2
- 地上:2階
建築設計主旨
本計画は一日に約20万人もの人々が行き交うターミナル駅である西武鉄道所沢駅の大規模なリニューアルです。
計画にあたっては、単なる通過点ではなく日常の生活の場を意識した地域の拠点としての駅におけるコミュニティの在り方について考え、様々な空間的な仕掛けによって、人々に親しんで使っていただけるような空間を目指しました。
新たに2階レベルに設けられたメインコンコース全体は、包み込むような柔らかな曲線を持つ大屋根空間とし、駅の空間をより一層魅力的なものにするために、本計画では商業施設と一体化した空間づくりを試みています。
店舗部分は人々が行き交うコンコースを広場に見立て、その周囲を取り囲むように配置しています。
駅務室などの駅機能部分に関しても、温かみのある素材の使用や色調の調整など商業施設との調和に配慮しています。
また、電車の待ち時間や友人との待合せ、カフェでテイクアウトしてのティータイムなど、ゆっくりと時間を過ごすことができる空間として、立体的な構成を持つテラスや屋上庭園をデザインしています。
駅の内部には、県産木の小さなプレートを集めた大樹、県産間伐材によるファニチャーや古い駅のホームに使用していた大谷石などを再利用したベンチを設けるなど、土地や昔の駅の記憶を感じ、触れることができるように配慮しています。
構造設計主旨
本体の主架構はホーム上部に配置された駅舎コンコースは空間に広がりを感じさせるような計画とするため、柱配置の本数を少なくする必要がありました。
ゆるやかな曲率を持つ大屋根を支持する柱のうち、コンコース内部の6か所に逆四角錐柱を集約する事で、合理的な大空間構造を実現しています。
さらに、4本に配置した斜め柱の両端部にテーパー鋼管を用いて絞り込むことにより意匠的な美しさを強調した構造架構としています。
逆四角錐柱は力強く大屋根を支える機能を持たせつつ、紡錘形の緩やかな形状とする事で、優しく空間に溶け込むように配慮しています。
これらの工夫により大梁の支点間距離が短くなり、柱・大梁の断面を経済的に設定しつつ、軽快な『魅せる構造体・接合部』を合理的に実現させています。
設備設計主旨
施主の企業理念に基づき、ターミナルステーションとしての利便性および環境の保全に考慮した計画としています。
多くの人が利用するコンコース空間には、LED照明を採用し、中央に設けた幕屋根からの自然光を効率的に利用するために調光制御を行っています。
温熱環境は、自然風を取り入れた建築計画との融合を図るために、設計時点より温熱環境シミュレーションを行い、計画を進めてきました。
また、自然エネルギーを最大限利用するべく、太陽光発電、風力発電装置を採用しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 網干和、菅原裕二、田中英輔 |
構造設計 | 小林祥一、大竹克浩、岸有三、杉山雄亮 |
設備設計 | 高木淳、庄司朋子 |
電気設計 | 高木淳、木下清一、宮嶋禎朗 |
社外受賞
2013年 | 環境省 省エネ照明デザインアワード 優秀事例 公共施設・総合施設部門 |
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2013年 | 第58回 鉄道建築協会賞 停車場建築賞 |