御茶ノ水ソラシティ
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用途:事務所、店舗
所在地:東京都千代田区
延床面積:102,231,55m2(蔵を含む)
地下:2階/地上:23階/塔屋:2階
建築設計主旨
人と街を繋ぐ
本計画は、都市再生特別地区の制度を活用した 施設であり、ビジネス拠点であるとともに来訪者や地域住民の交流拠点となることを目指しました。
地域に開かれた広場空間を確保できるような建物配置計画とし、緑豊かなパブリック空間を創出しています。
さらに、地下鉄改札口に接続する地下広場を設け、地上地下一体となった「立体都市広場」を実現しています。
この広場を中心にJR、メトロ、隣接する淡路町再開発地区を有機的に結び付ける歩行者ネットワークを整備し、地域周辺のバリアフリー化にも寄与しています。また、開発前に敷地内にあった樹木を保存、さらには、軍艦山・淡路坂などの石垣・レンガ擁壁の保存・再生、蔵の復元など歴史的資源の継承にも配慮し、地域に親しまれてきた景観を保存しています。
正面ファサードは石で品格や風格を 実現しつつも、ワンサイズ小さいモジュールの単純な縦格子の連続により、重厚さを感じさせない端正で優雅な 表情を演出しています。
奥行の深いファサードは、1日の日差しの変化を受けて、陰影の効果による多彩な表情を街並みに対して見せてくれます。
基準階は約3000m2のメガフロアであり、オフィスを中心に教育関連施設、カンファレンスセンター、店舗、展示施設からなる複合施設です。石材や木調素材を適所にバランスよく採用することで、ローコストでありながらハイグレードなインテリアを実現しています。
構造設計主旨
構造は中間層免震を採用し、BCPの観点から建物性能を向上させています。
また、建物の地下に地下鉄2路線が存在することから、地下鉄の軌道を跨ぐ部分は、メガトラス架構とすることで上部構造からの荷重を安全に支持地盤まで伝達させています。
さらに、免震構造を採用することで地盤・杭に作用する水平力を低減しています。
人工地盤と吹き抜け広場には、300N/mm2級の世界最高強度の「大成スーパーコンクリート」を活用し、通常の柱サイズより小さい径とすることが可能となり広場周りの開放的な空間を実現しています。
杭は地下鉄2線の存在と環境への負荷低減を考慮し既存杭を撤去せずに大規模に再利用し、新設杭を併用する計画としています。
設備設計主旨
オフィスコアを南側に配置し、その外壁側に設備バルコニーを設けることで南側からの日射による熱負荷を大きく抑えています。
東西面の奥行き約85cmの格子ルーバーによる日射遮蔽効果と相まって、事務所部分でPAL値マイナス約35%という数値を達成しています。
この設備バルコニーの外部ルーバーを太陽光発電タイプとし、都内事務所ビル最高レベルの発電容量(150KW)を実現し、環境負荷低減に大きく寄与しています。
全館の照明をLEDを基本とし、事務所照明器具には最高水準の省エネ効果を実現した「大成オリジナルLED照明」を採用しています。
また、地下鉄千代田線新御茶ノ水駅から地下鉄湧出水を受け入れて、ろ過後の水を、水冷チラーの冷却水として利用し、熱を利用した後の水は、外構植栽の自動灌水やトイレ洗浄水に2次利用しています。
未利用エネルギーを積極的に活用し、高効率の機器・システムを採用することで、CASBEE Sランクの認定を取得する予定です。
ランドスケープ設計主旨
敷地内緑化率45%を実現
緑豊かな地上広場や屋上緑化などにより、皇居から上野公園へとつづく「緑のネットワーク」の中継点となっています。
明治・大正時代の歴史資源の再生・保存
敷地内に残っていた明治中期のレンガ擁壁はベンチや歴史案内サインとして再生保存しています。
軍艦山や淡路坂などの石垣も保存・再生し、この地の景観の記憶を伝えます。
また、大正6年に淡路町に建てられた蔵の内部部材を再利用し、新たに「Gallery蔵」として復元しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 伊勢季彦、松本哲弥、清水貴裕、北村浩、村瀬宏典、西崎暢仁、西裕子、中島幸夫 |
構造設計 | 小室努(前期)、松本修一、征矢克彦、辰濃達、河本慎一郎、中尾文彦、田部井直哉 |
設備設計 | 熊谷智夫、山本進 |
電気設計 | 熊谷智夫、鈴木秀佳 |
ランドスケープ | 川崎泰之、平賀順也 |
社外受賞
2013年 | 第4回 省エネ・照明デザインアワード 公共施設・総合施設部門 優秀事例 |
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2014年 | 第15回 日本免震構造協会賞 普及賞 |
2015年 | 第26回 電気設備学会賞技術部門 施設奨励賞 |
2015年 | 東京建築賞2015 東京都知事賞 |
2016年 | 日本建築学会作品選集2016 |
2016年 | 第2回 まちなか広場賞 特別賞 |