HOME > WORKS2013 > 丸本組本社ビル

WORKS 2013

丸本組本社ビル

用途:事務所
所在地:宮城県石巻市
延床面積:1,834.72m2
地上:4階

建築設計主旨

施主は石巻の地場ゼネコンである株式会社丸本組です。
震災被害により、津波の未到達エリアに敷地を移し新本社計画を行いました。
T-PALET(ニーズ調査)、ワークショップを行いながら、下記の3つのキーワードを導きだし、かつ、施主の地域貢献への思いをのせ、「地域に根差した防災拠点ビル ACPビルディング(=Area Continuity Planning)」をコンセプトとしました。

コミュニケーション
災害時のコミュニケーションも想定し、地域貢献施設をちりばめています。具体的には、災害時にも地域に灯りをともす「ライトアップコア」、災害時の利用を想定した「すごせる庭」、一時避難を提供する「大会議室」等です。

環境
南庭に対面した好景観なオフィスにすると共に、「全館自然換気」、「LED照明+T-Zone Saver」、「太陽光発電」等によりCASBEE Sランクを達成しています。

防災
「免震+杭基礎」、「1階の床上げ」、「設備の屋上配置」による防災構造としています。又、48時間の空調を保持する非常用発電機を設置し、オフィスと一時避難施設の機能を保持できる計画になっています。

竣工後、施主は「あとはまかせてください」という言葉とともに、復興と地域貢献に日夜奔走されています。

構造設計主旨

災害時における「復旧活動となる拠点」、「地域住民の一時避難場所」を確保するという観点から、大地震が起きた際にも防災拠点ビルとしての機能を発揮できるよう免震構造を採用しています。
免震構法は当社の複合免震構法であるハイブリッドTASS構法を採用しています。
建設場所は3.11の大震災時も津波の未到達エリアではありますが、基礎底を上げ1階床レベルを上げることで、3.11の大震災時を超える津波に対しても配慮しています。
上部構造は鉄骨造ですが、鉄骨柱と免震装置とは直接接合せず、RCフーチングを介して接合することで上部構造の施工精度に配慮した構造計画としています。

設備設計主旨

東日本大震災での被災経験を受け、災害に強く、環境にも配慮した本社ビルを実現することをテーマとしています。
防災拠点となる大会議室や役員室を中心に一般事務室まで、全館の約2/3の照明、空調換気、コンセントを発電機回路とし、48時間稼働分の燃料を備蓄して災害時のBCP対策を行い、在館者のみならず地域の防災拠点にも成り得る機能を持たせています。
また、十分な容量の受水タンクにより上水を確保し、免震上に設置したプロパンガスによるシャワー給湯設備や非常用炊出しキッチンなど被災の経験に基づく備えを行っています。
一方、環境に配慮した省エネルギー設備として、T-Zone Saver制御による大成オリジナルLED照明、マルチエアコンによる個別空調、全熱交換器による換気熱回収を採用し、屋上には約10kWの太陽光発電設備を設けて自然エネルギーの利用を行っています。

担当

大成建設担当者
建築設計 平井浩之、高橋章夫、小林浩、鶴見博之、呂知世、川岡秀郎、小杉東子
構造設計 井上慶一郎、末木達也、要知市郎
設備設計 豊原範之、梶山隆史、吉田三香
電気設計 豊原範之

社外受賞

2014年 第48回 日経ニューオフィス賞 東北ニューオフィス奨励賞