海雲ビル
- 用途:事務所
- 所在地:広島県広島市
- 延床面積:2,912m2
- 地上:5階/塔屋:1階
建築設計主旨
広島市中心部の平和大通りに建つ賃貸オフィスビルです。
当社中国支店が入居していたビルの老朽化に伴う移転先として計画されました。
計画にあたっては、平和大通りの豊かな緑の風景をいかに執務空間に取り込むかということを考慮しました。
求められたのは、移転スケジュールに合わせた限られた工期と事業収支による所要面積の確保です。
それらの条件を満たすべく、高効率でコンパクト、コストを抑えた合理的オフィスビルを追求しています。
大通りに垂直方向に配された外観の象徴的なロの字フレームは、緑を最大限取り入れる形態を表し、防火壁の機能を兼ね備えます。
各階に設けた片持ち庇によって網の無い透明ガラスのフルハイトサッシとし、シンプルで力強い存在感を与えています。
基準階は採光に恵まれた大通りに対して、執務室が敷地の間口全面で接するコア配置を採用しています。
プランニングの自由度を考慮し基本仕様として5分割の小割に対応し、隣地側の開口部は分割時の採光のほか、自然換気としても機能します。
上下階への階段利用を考慮した明るい屋内階段を設け共用部の環境にも配慮しています。
ここで働く人々が、季節や時間の移り変わりによる自然の変化を感じて過ごせるオフィスとしています。
構造設計主旨
計画地の地盤は支持層が30m~40mと深く、さらに敷地内で傾斜しているため、7か所のボーリング調査を行い支持層の分布を明らかにした上で、杭ごとに最適な長さを選定し、液状化を考慮した設計を行っています。
上部構造については、18m×36mの長方形平面を1スパン×5スパンのS造純ラーメン架構とすることで、フレキシビリティ及び開放性の高い無柱空間の実現と共に、柱台数及び杭本数の少ない、ローコストでかつ短工期を図った構造としています。
なお、18mの1スパン構造の部分では、大梁せいを950mm確保することで、常時荷重及び地震力に対応しています。
各階に設けた片持ち庇については、先端を150mm、元端を250mmの厚さとすることで、シャープなファサードデザインとたわみの抑制を両立しています。
柱脚は、エントランス横ギャラリー内の柱はデザイン性を考慮して露出柱脚としています。
それ以外については、根巻きコンクリートによる高い剛性を付与することで、建物全体の変形を抑える設計としています。
設備設計主旨
事務室空間はプランニングの自由度、イニシャル・ランニングのローコストを実現する為、省エネルギー技術や自然エネルギー活用、環境に配慮した機器の選定、小テナントにも対応できる柔軟性のある設備計画をテーマとしています。
省エネ技術としては全熱交換器や節水型大便器、LED照明の導入、事務室の照明器具は大成オリジナルLED照明、トイレ、給湯室は人感センサーと低ランニングコストを配慮しています。
自然エネルギー利用として風の誘引効果で自然換気を促しています。
将来対応として屋上に太陽光システムを設置可能なスペースを確保しています。
平和大通りに面しているので防犯設備は出入管理も含め、警備会社のトータル管理としてセキュリテイ高度を上げることで安心かつ快適なオフィスビル作りを実現しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | (本社)高橋章夫、玉井麻由子、田中哲平 (中国支店)加納秀一、豊岡秀子 |
構造設計 | 松本修一、辰濃達、岡山真之介、蘇鐘鈺 |
設備設計 | 豊原範之、大林茂、原田明日香 |
電気設計 | (本社)豊原範之、秋山洋子 (中国支店)前田義徳 |
社外受賞
2014年 | 第27回 日経ニューオフィス賞 中国ニューオフィス奨励賞 |
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2015年 | 第8回 ひろしま建築文化賞 |