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WORKS 2013

クロスエアタワー

用途:集合住宅、店舗、事務所、公益施設、駐車場
所在地:東京都目黒区
延床面積:83,647.28m2
地下:2階/地上:42階/塔屋:1階

建築設計主旨

本建物は、大橋地区第二種市街地再開発事業区域に位置しており、2棟の施設建築物と大橋ジャンクションで構成された複合再開発のうちの1棟であり、住宅をはじめ多用途が複層に構成された超高層建築物です。
住宅の他に店舗、事務所、目黒区施設で構成され、9階の大橋ジャンクション屋上の「目黒天空庭園」に導く回遊動線により 建物内外に有機的なネットワーク、空間構成を創出し「立体的な街空間」を構築しています。
区内最大のタワーレジデンスである本建物では、風景の中で映えるデザインの追求が求められました。
住宅と多くの機能が複雑に絡み合いバラバラに表出する各要素を、「三層構成」がもたらす安定感と美しさに変換し、一体的なデザインを目指しています。
上層部では飾柱(マリオン)やフィン、頂部の大庇、壁面のカラーリングなどで強調された「垂直性」「シャープさ」が象徴的なシルエットをうかび上がらせ、本タワーレジデンスが必要とされる「崇高さ」や「気品あるグレード感」を表現しています。
基壇部は、本再開発が完成に至る20年以上の「時間の積み重ね」を「地層」として表し地域の方々の想いを映しこむと共に、未来へ向けた蓄積・発展の願いを込めたデザインとしています。

構造設計主旨

タワーレジデンスとして、「耐震性能」「耐久性能」「居住性能」の3つの性能を満足するべく計画しています。
架構形式は、鉄筋コンクリート造(制振構造)とし、極低降伏点鋼を用いた制振間柱を11階から30階に各階8台ずつ、31階から36階に各階4台ずつ配置し、大地震時に主要構造体に極力損傷が生じず、地震後の補修を最小限にした長寿命な構造体を実現しています。
また梁主筋にはUSD590の高強度鉄筋、せん断補強筋にはSBPD1275/1420の異型PC鋼棒を採用し、靭性に富んだ設計としています。
コンクリート強度は、集合住宅で国内最高強度となるFc200(200N/mm2)を地下階の一部の柱に採用したのをはじめ、地上階柱にはFc120からFc30の高強度コンクリートを採用することで、柱断面の縮小と耐久性の向上を図っています。
基準階においては、住戸部分の床スラブにプレストレスを導入したハーフPCa板による大型スラブを採用し、住戸内に極力梁型が出ないSI住宅とすることで、豊かで快適な空間を構成するとともに、将来の間取りの変更や設備施設の更新を容易にしています。
また、柱、梁もPCaとした工業化工法を採用し、高品質な構造躯体を構築しています。
基礎形式は、GL-12m以深に出現する上総層群固結シルト層に直接支持する直接基礎(べた基礎)とし、超高層建物を確実に支えています。

設備設計主旨

維持管理、安全性、効率性、省エネを考慮した設備計画となっています。
集合住宅部分は、SI(スケルトン・インフィル)住宅です。
共用廊下に面したMB・PSに、住宅系共用配管配線を配置し、専有部に入らずに、住宅系の共用設備をメンテナンスすることが可能です。
住戸専有部内の給水・給湯配管は、さや管ヘッダー構法で、配管継手部分が少なく、更新をしやすく、漏水の可能性も少なくなっています。
4段階のセキュリティ(エントランス→エレベーターホール→エレベーターカゴ内→自宅玄関)で、居住者に安全・安心な居住空間を提供しています。
通常1階や地階に設けられることの多い東電借室(住宅用電気室)を10階の設備展開階に配置することで、各住戸へ電気を効率的に送っています。
事務所の照明は高効率器具を採用し、昼光センサー、初期照度補正による調光制御にて省エネ対応を行っています。
地上階屋外の植栽への灌水用水源として、雨水を利用し、節水を図っています。

ランドスケープ設計主旨

敷地は池尻大橋駅、国道246号沿い商店街といった「賑わいエリア」に近接すると同時に、目黒川、大橋JCT屋上庭園など「憩いの空間」にも隣接しています。
そこでこれらと接する位置にプラザや屋上広場を配置して周辺とのつながりを強化し、都市の活力と自然の安らぎを享受できる魅力ある住宅地を創出しています。
エントランスでは壮大な樹木が人を迎え、広場では壁泉が水音を響かせるなど、敷地のスケールを活かした自然感あふれる空間となっています。
プラザは地元のイベントに活用されており、地域のアメニティ向上に役立っています。
緑化にあたっては、隣接する氷川神社の緑を敷地内に引き込むよう、シラカシなど常緑樹を主体とした植栽を行い、メジロ、ヒヨドリなど都市鳥の休息空間の創出など地域生態系の充実を目指しています。
さらに透水性レンガ舗装や屋上緑化を東京都の指針を上回る規模で実施し、ヒートアイランド現象の緩和にも配慮しています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
内装デザイン監修 フォワードスタイル株式会社
工事監理 株式会社東急設計コンサルタント
大成建設担当者
建築設計 山田達行、村元徹、渡辺修、脇田勝広、近藤香織
構造設計 服部敦志、中島徹
設備設計 吉永實、小野田修一、久保田祥彰、山下盛久
電気設計 吉永實、小野田修一、中井信雄、土屋暁子
ランドスケープ 蕪木伸一、山下剛史

社外受賞

2014年 タイル施工例コンペティション2014 優秀賞