京都水族館
- 用途:水族館
- 所在地:京都府京都市下京区
- 延床面積:10,974.29m2
- 地上:3階
建築設計主旨
京都駅近くの市民の憩いの広場、梅小路公園の一画に、国内最大級の内陸型水族館を建設するという民間事業です。
弊社の独自技術である人工海水と高性能濾過システムがこの事業を裏で支えています。
全長約170mに及ぶ長大な建築を公園に対して積極的に開いていくことで、場の関係性を顕在化させ、双方にとって心地良い空気をつくることを目指しました。
屋外展示空間と園路との間に沿って設けられた水盤とガラスルーバーウォールによる緩やかな境界は、水膜のような外観と同時に、垣間見る視線や光や風の通り道を作り出しています。
また、展示空間を縫うように敷いた立体的な観覧動線は、借景やアートワークも絡めながら、建築と展示とランドスケープとを融合させることで、歩いて楽しいシーケンシャルな散歩道となっています。
構造設計主旨
回遊型の水族館はエリアごとに展示方法が様々で、各々の展示空間に適した構造形式が求められました。
また、地上部のRC躯体は162mにも及ぶため、温度応力によるクラックの防止と各棟での地震力の処理を考慮し、展示構成に合わせた位置で3つの棟に分割する計画としています。
RC壁が必要なイルカスタジアム水槽や大水槽は、造形をそのままに耐震壁としても利用しています。
地震力が集中しないように周辺にもバランス良く耐震壁を配置し、避難施設としての耐震性能を確保しています。
また、2階の展示ブロックは、展示内容の変更に対応できるように十分な床荷重を見込んだラーメンフレームとしています。
薄く、軽快なスタジアムの屋根は、間柱により支持される片持ち形式の鉄骨造で実現しています。
水処理施設や水槽、配管ピットとして利用される2重ピットの直接基礎は、建物全体にわたり一体化しています。
GL-2.2mに埋蔵文化財が想定されたため、基礎底レベルをGL-1.7mに抑えています。
設備設計主旨
一般的な内陸型水族館に比べて、より環境にやさしい建物として、省資源、省CO2を意識した設備計画を目指しました。
イルカスタジアム水槽の温調熱源には電気式を採用し、環境負荷の小さい夜間電力を使用した蓄熱槽として利用しています。
その他にも太陽光発電、LED照明、雨水利用、ミスト噴霧、BEMS、高性能ろ過システム、人工海水製造システム等の採用により省エネルギー、省CO2を実現しています。
これらの技術により、平成21年国土交通省「住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されました。
また建築環境総合評価システムCASBEEにおいて、認証機関よりSランクの認証を取得しています。
ランドスケープ設計主旨
公園との境界を曖昧にしながら、緩やかな空間のつながりを目指しました。
特に里山ゾーンでは2階から1階にかけての傾斜地を利用して、棚田やせせらぎ、畦道、ビオトープ等、京都北部の里山の風景を凝縮して作り込みました。
公園と連動した自然環境が既に生態系として定着しつつあります。
担当
担当 | |
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設計 | 東洋設計事務所、大成建設株式会社 一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 桜本啓三、高橋秀秋、渕清和、増田裕康 |
構造設計 | 早部安弘、水谷太郎、村瀬正樹 |
設備設計 | 高木淳、斧田浩一、永吉敬行 |
電気設計 | 高木淳、西村英俊 |
社外受賞
2014年 | 第28回 社団法人空気調和・衛生工学会近畿支部 振興賞技術振興賞 |
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