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WORKS 2011

さくらインターネット石狩データセンター

用途:データセンター
所在地:北海道石狩市
延床面積:11,391.75m2
地上:2階

建築設計主旨

石狩は年間平均外気温が7℃と冷涼な気候であり、地震、落雷、台風等の災害リスクが少ない地域です。この地域性を活かし、100%外気冷房を導入した省エネルギーでローコストなクラウド型のデータセンターを計画しました。
経済性と環境、実験を包み込む意味で3E(Economy,Environment,Experiment)+E(envelopment)をコンセプトとして、外装は3Eを実現する建物本体を軽量で断熱性能の高いダブル折板で包み込む構成としています。
外気冷房を支えるチャンバーやダクトを建築化することで形成した壁面のオーバーハングは、その角度や軒のアールが冬季の雪下ろしを不要にさせる機能性もあり、過剰な雪庇(せっぴ)の発生を抑えるディテールになっています。
エントランスやサーバ室などの内部空間は、ガラスやアルミなどの工業材料を使用し、最先端のデータセンターを表現しています。休憩室や会議室は、木の表現を主体とし、温かみを感じられるように配慮をしています。

構造設計主旨

ロングスパン鉄骨梁を採用し、中間柱を1スパンおきに配置することや耐震要素のブレースを集約することで、マシンルームのフレキシビリティを確保するとともに、ローコストを実現しています。
外気冷房システムによる設備の納まりを考慮して、ブレースの形状についても設備ダクトとの位置関係に配慮した計画を行っています。
また、屋根から外壁に繋がるR形状のチャンバー部分においては、よりシンプルな架構計画を目指して設計を行っています。
基礎は直接基礎を採用し、液状化に対する有効応力解析による検討や高精度な沈下解析を行い、構造安全性および使用性を検証しています。

設備設計主旨

日本初となる100%外気冷房型データセンターを実現するために、建築自体が外気冷房空調システムとなる断面計画を行いました。
石狩は冷涼で年間外気冷房が可能である一方、寒冷、多雪、強風、塩害等の過酷な気候条件でもあり、全ての課題をクリアにするエアフロー計画としてます。
新技術の導入にあたっては、様々なモックアップ実証実験等を繰り返しながら、建築・設備を具現化しています。
また、サーバルームや設備システムは、100ラック単位でモジュール化し、必要に応じて、時代の最先端の設備を拡張することが出来、ローコスト化とフレキシビリティ性を両立しています。
サーバーからの排熱は、管理棟の暖房効率の向上や、ロードヒーティングにも利用出きる設備も備えており、これまでの概念を超越したデータセンターを完成することができました。

担当

大成建設担当者
建築設計 安田孝、今里清、鈴木智子、内藤健吾、中野弥、川岡秀郎、服部慎
構造設計 新田隆雄、小林治男、櫻井佑美
設備設計 出野昭彦、豊原範之、長徹
電気設計 出野昭彦、山口亮

社外受賞

2014年 第5回 サステナブル建築賞 一般財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞