HOME > WORKS2011 > 中央大学後楽園キャンパス新2号館

WORKS 2011

中央大学後楽園キャンパス新2号館

用途:大学、高校
所在地:東京都文京区
延床面積:17,359.28m2
地下:1階/地上:9階/塔屋:1階

建築設計主旨

本建物は、創立125周年を迎えた中央大学がより高度化する先端技術教育を展開していく大学として、また様々な時代のニーズや社会の負託に応えることを目的に、都心の教育活動拠点である後楽園キャンパスに新たに建設した「知の創造施設」です。
理工学部生命科学科、精密機械工学科、都市環境学科のほか、中央大学高等学校専用の教室・体育館等を収容します。

最大の特徴は機器の更新性と内部の自由度の向上を目指した「メカニカルバルコニー」にあります。
実験施設から体育館に至る多種多様なニーズや2工期のプログラムに対応できるように、無柱の21m大スパンを基本フレームとしました。
そして、建物の中には設備の固定シャフトを設けない計画とすることで、将来の間仕切り位置、設備計画の変更にフレキシブルに対応する平面計画としています。建物の中の固定シャフトに代わり、研究・実験に必要な設備用のスペースとして、研究室・実験室に対して設備配管スペース「メカニカルバルコニー」を配置しています。

設備配管は外装の一部として割り付けられます。基本外壁として断熱鋼板パネルがあり、次に40㎝ピッチで設備配管が、表層には20㎝ピッチでテラコッタルーバーがセットされています。
ルーバーと配管による日射遮蔽と、Low-Eガラスと鋼板パネルの断熱強化により、ペリメーターレスの空調を実現した環境性能の高い外装システムを構築しています。

配管のメカニカルな表情が理工学部らしい先進性を創出すると同時に、自然素材であるテラコッタが外部環境とのフィルターとなり、緑豊かな文教エリアである春日通りの景色に溶け込んでいきます。

構造設計主旨

建築・設備プログラムに適合する架構として、長辺方向3.2m、短辺方向21mスパンを基本グリッドとするロングスパン架構を採用しています。
室内からメカニカルバルコニーへと展開される天井内の設備配管に配慮し、長辺方向の梁は逆梁としています。
嫌振機器の設置が予定されているため、柱スパンを約半分(12m+9m=21m)とするエリアを一部設定し、架構の剛性を高めた嫌振エリアとして計画しています。
理工系大学の実験施設から高校体育館に至る幅広い用途に求められる性能を、すべて満たすための架構上の工夫を行っています。

また、本建物の北東角には既存躯体が存在しました。
吊架構、斜め柱を採用することで埋設物を合理的に避けることができ、施工時の安全性を確保すると同時に、大学キャンパスエントランスの顔を構築するのに役立っています。

設備設計主旨

フレキシビリティの高い建築プランニングに対応する設備システムとして以下のコンセプトを立てました。

  1. 研究・実験エリア内には配管ダクトなどの設備系固定シャフトを設けない計画とすること
  2. 将来の間仕切り位置、設備計画の変更に他エリアに影響なく迅速かつフレキシブルに対応できること

建物内固定シャフトに代わり、研究・実験に必要な設備用のスペースとして、研究・実験室に面する外壁に設備配管スペース「メカニカルバルコニー」を配置し、設備ユースポイントの設置や変更、更新をフレキシブルに対応可能としています。

電気系統はプラン変更に影響しない建物コアに幹線シャフトを集約し、将来の変更要求が多いと想定される実験電源計画については、拡張性が高くフレキシブルな対応が可能な大容量バスダクト方式の幹線計画としています。

実験電源盤は実験室内の照明コンセント、空調機器、実験用回路を系統分け且つ集約した一体盤構成とし各実験室単位で設置することにより他の実験室との独立性と拡張性を持たせています

今回計画は建物使用開始時期がI期II期の二段階引き渡しの条件であったため、I期エリアの先行供用開始後もI期エリアに影響を与えずに設備が機能するようにI期工事エリアに設備のメインシャフトや主要機器を配置し、分電盤の分散配置計画などの配慮により、安全かつ確実にII期の施工が可能な設備計画としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 畠山卓也、平井浩之、中藤泰昭、小林浩、藤本鉄平、中塚大介、田中哲平、浅野剛史
構造設計 早部安弘、一色裕二
設備設計 高木淳、竹内伸介、矢後佐和子
電気設計 小野田修二、西村英俊