本町ガーデンシティ
- 用途:事務所、ホテル、店舗
- 所在地:大阪府大阪市中央区
- 延床面積:50,153.39m2
- 地下:2階/地上:27階/塔屋:2階
WORKS:セント レジス ホテル 大阪
建築設計主旨
都市再生特区の指定を受けて容積制限と高さ制限を緩和し、大阪の御堂筋本町地区に立地するオフィス・ホテルの複合建築です。
御堂筋界隈には大正~昭和初期の名建築が多く残り過去と現在をつなぐ個性的な景観を創り出しています。
貴重な建築遺産が彩る街にふさわしい建物とはどうあるべきかをデザインの根底に据え、御堂筋の顔としての風格とシンボル性を有し近代建築群が持つ重厚さと品格を併せ持つ建物となることをねらいとしました。
外観は、伝統的なディテールを有する重量感ある石壁とそこに穿たれた2層分の高さの開口を、花崗岩打ち込みのPC板により構成しています。
石材特有の仕上がりのばらつきを効果的に生かすため、原石を濃淡の具合により選別し、ランダムにファサードに落とし込んでいます。
これにより個々の石が静かに主張をはじめ、深みと重みと落ち着きのある味わいを街に滲み出す外観となり、周辺の近代建築群同様、経年による美化が期待できる仕上がりとなっています。
1階では御堂筋と本町通りに面した潤沢な広さのポルティコ状空間(コリドール)を公共的歩行者空間としています。
ダイナミックにセットバックした12階屋上には、ホテルのロビーに面した約1000m2の日本庭園を設え、地表面を空中に再生するという都市的かつ現代的な社会性を表現しています。
高層階には、五つ星ホテル「セントレジスホテル大阪」が至高と洗練を掲げて日本初出店を果たしています。
構造設計主旨
L字型平面を持つ高さ約50mの12階低層部と、更に約130mまで伸びる高層部分とからなる鉄骨造の超高層建物です。
低層部はオフィス、高層部はホテルという構成であるためスパン割が異なりますが、階高の大きい13階機械室を利用してトラス架構を構成することで対応しています。
低層部は約21mのロングスパン梁とし、外周部の柱をH形鋼柱と扁平角形鋼管柱とすることで、オフィス内に柱型のでない無柱空間を実現しています。
外壁が2層おきの大判PC版となるのに合わせて、外周部の大梁も2層おきとなるため、建物の水平剛性が小さくなりがちです。
そのため、コア周りの軸力が高い柱を充填コンクリート鋼管柱とし、鋼材ダンパーブレース(シェイプアップ・ブレース)とオイルダンパーを配置して芯棒の役割を持たせ、地震時の変形を抑制しています。
大きくセットバックした形状のため、地震時のねじれ振動が懸念されますが、制震部材の適切配置によりねじれ挙動を軽減させています。
設備設計主旨
本計画では、省エネルギー、環境配慮に加え、信頼性向上、メンテナンス性、将来の更新性を重要項目としています。
空調熱源は、電気熱源(ブラインチラー+氷蓄熱槽、空冷ヒートポンプチラー)とガス熱源(ガス焚冷温水発生機)の組み合わせによるベストミックス方式とし、運転の自由度を高めると共に省エネルギー運転を可能としています。
空調用熱源機および熱交換器は全て2台分割設置とし、信頼性及びメンテナンス性向上を図るとともに将来の更新に支障が無いように、ブラインチラー、ガス焚冷温水発生機等の大型の熱源機器は地下階に設置し、中間階機械室に熱交換器、屋上に空冷ヒートポンプチラーを設置しています。
また、将来の搬出入を考慮し、空冷ヒートポンプチラーはモジュールタイプとし、中間階機械室の貯湯槽は小容量の貯湯槽を連結する方式を採用しています。
電力の引込みは2回線(本・予備)とし、電気室を上層階(2階と13階)に設置する事で水害時における信頼性の向上を図っています。
受変電設備は一般的なビルでは珍しい特別高圧22kVから低圧200Vへのダイレクト変電方式を採用し、大幅な省スペース化を図ると共に幹線の2重化、バックアップ回路の構成等により、年次点検時の停電などによるホテル営業への影響を最小限に留める計画としています。
担当
大成建設担当者 | |
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設計・監理 | 日建設計株式会社 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
サイン計画 | アトリエ景株式会社 株式会社竹内デザイン一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
統括 | 河野晴彦 |
建築設計 | 高野雅文、荒木宏之、太田英和 |
構造 | 勝田庄二、多田好視、山崎英一、平尾明星 |
設備設計 | 高木健、水川信夫、安藤一成、久保田宗人 |
電気設計 | 加藤文都、小林徹也 |
社外受賞
2012年 | 第31回 大阪まちなみ賞奨励賞 |
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2012年 | 第5回 大阪サステナブル建築賞知事賞 |