仙台ファーストタワー(II期)
- 所在地:仙台市青葉区
- 延床面積:24,384.88m2
- 地下:2階/地上:24階
建築設計主旨
計画地は「杜の都・仙台」のメインストリートである青葉通と東二番丁通の交差点という、都市形成上極めて重要な場所に位置します。「都市貢献」をキーワードとした計画により、仙台市で初めて都市再生特別地区の指定を受けました。
計画コンセプトは、仙台の顔としてランドマークとなる外観デザインと、人が集い憩える施設空間の創出です。建物構成は都市的ゾーニングに合わせて高層オフィス棟と低層商業棟を配置し、これらを二段階開発することで旧建物入居者の事業に配慮した開発スキームとしました。
外観デザインはI期高層棟と同じく水平ラインを強調したアルミカーテンウォールの物販棟と、高層棟との間に配したガラスカーテンウォールのアトリウム棟により建物のボリューム感を特徴付けました。
商業施設の核としてイベント利用等、市民に開放されるアトリウム(屋内広場)は、植栽の混植による壁面緑化と、ガラスの大屋根や可動サッシによる自然採光・通風・換気システムを導入し、環境に配慮したダイナミックな空間としました。また、大階段にはLED照明を仕込み、季節と時間の移ろいを演出した仕掛けとしました。
物販棟の屋上にはカフェに面して公共空地である広場を設けました。有機的パターンにより建物デザインと調和させた壁面緑化によって囲われた憩いの空間であり、また小イベントにも活用できるスペースとなっています。
構造設計主旨
当建物は、高層の事務所棟、アトリウム棟及び、低層の物販棟の構成となっており、高層棟とアトリウム棟は地下1階柱頭部に免震装置を配置した免震建物としました。
免震システムには、弾性すべり支承と積層ゴム支承とを組み合わせた「ハイブリッドTASS構法」を採用し、大地震時の入力を効率よく低減しています。
アトリウム棟は構造的に高層棟と一体とし、地震時の水平力を高層棟に負担させることにより、スリムな構造体が可能となりました。ガラス屋根を支える構造は、丸パイプで構成されたW字形状の立体トラスとし、それを、正面側の細幅のH形鋼5本と、背面側に配置された1本の張弦梁とで受ける構造としました。
物販棟については、旧建物の地下外壁を解体時の山留めとして利用し、さらに、旧建物の基礎を新設建物に再利用することで、廃棄物の削減に寄与しました。
設備設計主旨
アトリウム棟及び物販棟の室外機・厨房排気ファン・排煙ファン・変電設備は、屋上及び電気室に集約設置し、設備機器スペースの集約化を行うとともに高層棟との系統・区分の明確化を図りました。
アトリウム内にはドット毎のプログラム点滅が可能なLED照明を階段と入口床部分に、鉄骨フレームライトアップ用のスポットライトをそれぞれ設け、賑わいと存在感の創出を行っています。またアトリウム内の上下温度・外気温湿度条件によりアトリウムエントランス自動ドアとトップとサイドの大窓を自動で開閉する自動制御により中間期の自然換気、夏季の熱抜きを行い、空調電力使用量の削減を図っています。
高層棟の屋根に降った雨水を貯留・ろ過させた中水を壁面緑化の潅水及びトイレ洗浄水に利用し、水資源保護に役立てています。
担当
大成建設担当者 | |
---|---|
総括 | 藤尾健之 |
建築設計 | 塩谷尚斉、尾畑徳彦 |
構造設計 | 小林祥一、岸有三、末木達也 |
設備設計 | 廣川純一、山本進 |
電気設計 | 廣川純一、宮嶋禎朗 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、藤澤亜子 |
社外受賞
2009年 | せんだいデザインウィーク 街中プロジェクト 街中グッドデザイン展 せんだいデザインウィーク大賞 |
---|---|
2010年 | 平成21年 照明普及賞 優秀施設賞 |
2011年 | 第10回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 壁面・特殊緑化部門 審査委員会特別賞 |
2011年 | 第31回 東北建築賞 作品賞部門 特別賞 |