IXINAL門前仲町
- 用途:事務所
- 所在地:東京都江東区
- 延床面積:9,156.63m2
- 地上:5階/塔屋:1階
建築設計主旨
本計画は、江戸情緒の残る深川と呼ばれる地域の一角、大島川西支川の川縁に建っていた倉庫跡地の計画です。
金融・商業の中心地である大手町や日本橋の隅田川を挟んで向かい側という好立地条件から、まとまった規模のテナント誘致を期待できる貸ビルとして計画されています。
建物の形態は、北側と南側が集合住宅に隣接しており、かつ日影規制・道路斜線・歩道状空地の設置義務等の法規制による制限を受けるなかで、シンプルで特徴のあるものとなるように考慮しています。
平面計画はコアを極力コンパクトにすることで、貸室の奥行きを確保し専有率を最大化しています。貸室はセンターコアを取り巻くロの字型にし、フロア貸しした際の一体感と回遊性が確保できるようにしています。採光等の執務環境は、フロア分割(4分割を想定)した際にも、それぞれが等しくなるように配慮しています。
外装は、集合住宅に隣接している南北面については開口部を極力減らし、大版の金属断熱パネルにより、ソリッドでシャープな表情としています。また、前面道路と川側に開いた東西面は、Low-Eペアガラスと自然換気スリットを備えたカーテンウォールを採用することで、光があふれる開放感の高い執務空間を実現しています。
大島川西支川に設けられた遊歩道を散策する人々に、水運によって栄えたこの地域の歴史性を感じてもらい、水辺の景観に新たな価値ある特徴を加えることを期待しています。
構造設計主旨
15.9mのロングスパンを有するセンターコア形式のオフィスとした建築計画に合わせ、冷間成形コラム柱とH形鋼梁を用いた、鉄骨造ラーメン構造を採用した構造計画としました。
センターコアは、貸室面積を最大限確保することを目標に、基本設計段階より、コア廻りの建築・設備の集約に注力しており、大梁・小梁等を含めた、梁の平面位置関係についても緻密に計画しました。
コア部分は在来スラブ、オフィス部分は合成床版とし、経済性についても配慮しています。
立面的には、斜線等の影響を含めて、セットバックする計画となっていますが、偏心等の影響は少なく、基準階平面に大きな影響を与えずに計画することができました。
基礎は場所打ちコンクリート杭での杭基礎を採用し信頼のおける地盤に建物を支持させています。液状化のリスクに備え、杭を補強し安全性を高めています。
設備設計主旨
延べ面積9,000m2余りの規模で5層しかないことから、1フロアの有効面積が広く、レンタブル比が高いという、オフィスとして合理的な建築に適応すること、建築主からの強い要望であった信頼性の高い電源供給と貸方の柔軟さに対応することに留意して計画しました。
具体的には、異なる変電所からの本予備2回線受電、共用発電機の72時間運転対応、テナント用発電機のスペース確保と72時間運転分のオイルタンクの実装、各テナント1系統のマルチエアコンが設置対応、テナント間仕切りラインを南北に1スパンずつ移動可能な電源・空調計画、全テナント入口へのカードリーダー実装、セキュリティに連動した照明・空調の発停などが挙げられます。
また、人感センサーや昼光センサーを用いた照明をはじめとする環境対応に一通り配慮することで、公式認証CASBEEランクAを取得しました。一見非常にベーシックなオフィスビルながら、フレキシビリティが高く、近年のニーズにマッチした計画になっています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 富川桂二郎、金岡利人、関明子 |
構造設計 | 田中勉、岩城邦雄 |
設備設計 | 熊谷智夫、嵐城太郎 |
電気設計 | 熊谷智夫、加藤勇太 |