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WORKS 2009

HIROSHIMA BUSINESS TOWER

用途:事務所、店舗
所在地:広島県広島市
延床面積:28,422m2
地上:21階/塔屋:1階

建築設計主旨

広島ビジネスタワーは広島市の官庁街である中区八丁堀に立地しています。
28,000m2を超えるハイボリュームを実現するために数年ぶりとなる広島市総合設計制度により約125%の容積割増許可を受けました。
市内に多い自走式駐車場ニーズに対し、低層階に自走式駐車場を集約しその需要に答えました。また地下工事を削減し埋蔵文化財の保護に寄与するなど環境維持に努めています。
駐車場はオフィスフロアからはエレベーターで直接アクセスが可能であり、スムーズな使い勝手が実現されています。無機質になりがちな駐車場の外装には壁面緑化を施し、ビルのファサードをエコロジカルな表情としました。
オフィスフロアは制振構造(TASMO構造)を採用し、ビルの高い安全性を確保するとともにモニタリングによる長寿命化を実現しています。壁柱の採用により一切の柱型が現れない、1000m2超の自由度の高い事務所プランが可能となり、壁柱と縦連窓のコントラストはストライプ状の端正な外観を織り成しています。

開放的なピロティから続く公開空地には樹木が豊富に配置され、樹間にはミストが漂います。緑とミストに覆われた公開空地のプロムナードは、ヒートアイランド対策に寄与するだけでなく街並みに幻想的な風景を創出しています。

構造設計主旨

外周部およびコア部に耐震要素を集中配置することにより、6階から上部のオフィスエリアは18mの無柱空間を実現し使い勝手のよいオフィス空間を構築しました。さらに、外周部のPCa柱は扁平な形状とすることで室内側への突き出しを無くし、室内へ柱型が現れない完全なスクエアエリアを実現しました。本建物の制振構造には、当社独自の制振システムである「TASMO」を採用しました。外周部の扁平形状のPCa柱は3600mm間隔で配置されていますが、お互いは制振ダンパーで接続されています。地震時にはPCa柱の傾斜にともない制振ダンパーにもせん断変形が生じ地震エネルギーの大部分を吸収する仕組みの制振構造です。制振ダンパーは低降伏点鋼をウェブに使用した鉄骨造で、変形性能に優れ安定したエネルギー吸収が行えます。ストライプを基調とした建築デザインと最先端制振構造技術の融合により、知的で快適なオフィスビルを実現できました。

設備設計主旨

給水は高層と低層の2系統に分けて受水タンク+加圧給水方式(予備機1台設置システム)としました。また、水道局協議の上、オフィスの原単位に0.1人/m2、80L/日/人を採用し、受水タンク必要スペースの縮小化を図りました。
1階エントランスホールには氷蓄熱パッケージを採用し、夜間電力の有効利用を図る計画としました。また、ELVシャフトのドラフト抑制のため、エントランスホールは第2種換気としました。
オフィスの加湿は全熱交換器と空調室内機に加湿器を併設することで冬期の湿度不足の防止を図りました。
また、各階の空調機用の室外機は当該階の1フロア上階に配置することで、冷媒管長の短縮化により能力低下の抑制及びメンテナンス性の向上を図りました。
オフィス街のオアシスを創出するため、開放的なピロティから続く公開空地にミストを配置することで街並みに幻想的な風景を演出するだけでなく、ヒートアイランド対策に寄与する「霧のプロムナード」を実現しました。
受変電方式は高圧6.6kV、本線・予備電源線の2回線受電とし、6階屋上にキュービクル及び非常用発電機を設置し、更新性の向上を図りました。オフィスOAコンセント容量は60VA/m2としています。また、BCPを考慮したテナント等のニーズへの対応として、屋上及び21階にテナント用発電機置場の確保と計画停電時の電源車対応を各階に幹線を敷設し、サーバー機器などの非常電源の確保を計画しました。情報系としては、自営にて光ケーブルを先行配線し、各キャリアで利用可能な設備及びNTTの光ケーブルを先行配線しています。

担当

大成建設担当者
総括 河野晴彦
建築設計 井深誠、村瀬宏典
構造設計 篠崎洋三、武谷政國
設備設計 高木健、久保田宗人
電気設計 高木健、加藤文都

社外受賞

2010年 第12回 ひろしま街づくりデザイン賞『環境にやさしい街づくり』部門入選
2012年 第7回 ひろしま建築文化賞  一般建築等作品部門 入選