パークコート赤坂 ザ タワー
- 所在地:東京都港区
- 延床面積:71,300m2
- 地下:2階/地上:43階
建築設計主旨
既成市街地における土地の高度利用と都市機能の更新を目的とした再開発組合施行の第一種市街地再開発事業です。
建物の最大の特徴は、ユニークな建物形状にあります。三角形のタワーを「薬研坂という高台に鳥が羽を休めている姿」をモチーフに、ファサードアドレスという手法を用い、色彩・照明・形状など外観デザインを決めていきました。
住宅は、フレックス設備システムを導入し、コーナー住戸のビューを最大限活かす柱割とすることで品質性能と居住性の両立を図っています。
低層住宅・高層住宅・業務・店舗の動線を最大高低差が約10mにもおよぶ坂を活用し、管理面・機能面・セキュリティ面から明確に分離しています。
再開発事業であることから、「森に浮かぶタワー」を基本コンセプトとし、周辺環境にも配慮し、道路の拡幅、歩道の整備、広場の設置、歩行者専用通路の整備に加え、屋上緑化、オール電化、Low-Eガラスなど様々な環境配慮技術を導入することにより、年間463tのLCCO2を削減する計画となっています。
敷地全体に自然植生を意識した植栽を行い、地域に開放することで、人と都市と自然の共存を図っています。
構造設計主旨
安心・安全・長寿命をコンセプトとして、制振構造の採用による高い耐震安全性と高強度コンクリートの採用による高耐久・長寿命建物を実現しています。
また次世代住宅にふさわしい最新技術を多く採用し、コンクリートは設計基準強度で最大150N/mm2を工場製作のプレキャストとして高品質化を図り、建物下層階の柱に取り入れています。
さらに、風揺れのような小さな揺れに対する居住性改善と地震のような大きな揺れの両方に効果を発揮するメンテナンスフリーのハイブリッド型制振装置を採用したほか、構造躯体と更新可能な設備機能を分離したスケルトン・インフィルの架構を取り入れた構造計画としています。
設備設計主旨
可変性の高い当社独自のフレックス設備システムを採用しています。給排水、電気等のインフラは共用廊下下部のピット内を展開させ、各住戸にメーターボックスやPS・EPSを設けないことで、専有面積の確保と住戸プランの自由度、メンテナンス性や更新性を向上させています。
住戸内はオール電化システム、水廻りの排気と新鮮外気とを熱交換する全熱交換器やエコキュートによる給湯システムの採用により、経済的で良好な住環境を実現しています。
ランドスケープ設計主旨
丘という地形を活かし、周辺の自然資源と連携することで、人と自然が共存する都市空間の再生を目指しました。
駅からのメインアプローチの正面に位置する高低差10m以上の法面には、つづら折れの道と曲面の壁を幾重にも重ねて配置しました。敷地の特徴である斜面地をダイナミックにデザインし、周辺に開放することで、地域共有の資源であると共に地域のランドマークとなる丘が生まれました。道路を挟んだ隣地との間にはブリッジを渡し、丘を巡る動線と連結することで歩行者の利便性を高めています。
ゆるやかに傾斜した敷地の一部には丘を造成し、アンジュレーションをつくりました。ケヤキやクロガネモチなど潜在自然植生を意識した植栽と相まって、変化に富んだ緑陰空間を形成しています。都心でありながら13種以上の野鳥の飛来を期待しています。
緑を再生し自然のポテンシャルを最大限高めながら、都市のシンボルとなるランドスケープが実現できました。
担当
大成建設担当者 | |
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基本設計 | 株式会社日本設計 |
デザイン監修 | 光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所株式会社 |
ライティング デザイン |
有限会社内原智史デザイン事務所 |
公共施設設計 | 株式会社日野 |
事業コーディネーター | 株式会社環境企画設計 |
実施設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 三浦友己、真野恵司、大塚俊一郎、安本善理 (前期)森行臣、細川博史、林美希子 |
構造設計 | 構造設計 服部敦志、寺嶋知宏 (前期)原孝文 |
設備設計 | 設備設計 吉永實、久保田祥彰 (前期)秋野陽一郎、小畠忠久 |
電気設計 | 吉永實 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、山下剛史 |
社外受賞
2010年 | 日本コンクリート工学協会作品賞 |
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2011年 | 第8回 港区みどりの街づくり賞 |
2011年 | 第10回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 屋上緑化部門 都市緑化機構理事長賞 |