代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワー オベリスク
- 用途:専修学校 集合住宅
- 所在地:東京都渋谷区
- 延床面積:27,175.10m2
- 地下:3階/地上:26階/塔屋:1階
建築設計主旨
白い矩形のフレームに透過性の高いファサードをもつスレンダーで美しいフォルムは、新宿の雑多な都市景観の中で明快で際立つ存在感をもっています。
中層部の無柱大開口は四方に開け、外気を感じ東京のパノラマビューを体感する空中庭園です。建物は周辺の眺望の良さを生かし、学校、空中キャンパス、共同住宅を垂直に構成し、それぞれをシースルーエレベーターで繋げています。
建物を印象付ける4枚の壁は、連層耐震壁[スーパーウォール]であり、建物の様々な機能と異なるモデュールを統合し、建築デザインとして昇華させた構造体です。更に高層階住宅の居住性を高める[ブレースダンパー]建物の背骨の役目を果たす[コアフレーム]など、人間に喩えると骨格・筋肉にあたる力強いメガストラクチャーを構成しています。その一方で、皮膚にあたるガラスカーテンウォールは繊細なディテールとし、透過性を高めました。力強い骨格と繊細な皮膚の対比は、形態と構造要素が統合されたフォルムという表現を際立たせています。
このように、最先端技術とディテールを駆使して「身体的建築」ともいえる高性能な新しい超高層建築の姿を実現しました。
構造設計主旨
スーパーウォールを主体としたメガストラクチャーと免震構造との組み合わせによって、高い耐震安全性を確保するとともに内部空間の自由度を最大限に高めました。これによって、中間階の大きな吹抜け空中庭園や上下階で柱位置が異なるプランなどフレキシブルな建築計画を可能としています。
17階に配置されたメガトラスによって住宅階の自重を支え、直下の空中庭園を無柱として開放性の高い空間としました。さらに、このメガトラスで集められた住宅階重量はスーパーウォールへと伝達され、スーパーウォールに地震力が集中することによる転倒に対しておもりとして機能し、スレンダーな超高層免震を可能としました。
免震システムには、超高層建築では初めてとなる、コンピューター制御を取り入れたセミアクティブ免震を採用し、従来の免震に比べて更に2割程度建物の揺れを低減しています。
設備設計主旨
教室照明は、全ての席で快適な授業環境を確保すると共に、将来のレイアウト変更にも容易に追従出来るようにシステム天井用600角の照明器具を採用しています。また、照度センサーにより昼光制御、初期照度補正を行っており、特殊用途時の照度変更が可能となっています。また、共用部は、人感センサー・間引き点滅区分を行うなど、徹底した省エネルギーをはかっています。
教室階の空調は、外調機により室温とした外気を教室に供給し、外調機の風量をインバータ制御による可変とすることにより、教室の利用状況に対応しています。また、内部空調負荷を除去するためのファンコイルについても、小部屋を除き室毎に冷暖切替・温度制御ができるようにし、各室の利用状況に合わせた空調が可能となるシステムとなっています。
また、特別避難階段及びエレベーターシャフトの頂部と下部に自然換気窓を設置し、階段室内の温度が設定温度以上になると上下の窓を自動的に開放し、煙突効果を利用して自然換気を行い、外気による冷却により階段室内の温度の上昇を抑制する機構を取り入れています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
空中庭園彫刻 | 安田侃 |
照明計画 | ライトデザイン |
ランドスケープ計画 | オンサイト計画設計事務所 |
レストランインテリア | デザインエイト |
サイン | 矢萩喜從郎 |
大成建設担当者 | |
総括 | 芝山哲也 |
建築設計 | 井内雅子、輿石秀人、横地哲也 |
構造設計 | 篠崎洋三、藤山淳司、板矢崇志、土本耕司 |
設備設計 | 堀雄二、上田泰史 |
社外受賞
2008年 | 日本建築学会建築デザイン発表会顕彰発表 |
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2009年 | 第10回 日本免震構造協会賞作品賞 |
2009年 | 第20回 JSCA賞 |
2009年 | 第50回 BCS賞 |
2009年 | グッドデザイン賞 |
2009年 | 第4回 日本構造デザイン賞 |
2010年 | 日本建築学会作品選奨・作品選集2010 |