DHC赤沢の里II期
- 用途:リゾート施設
(赤沢迎賓館)ホテル
(海洋深層水赤沢スパ)スパ、海洋深層水プール
(DHC赤沢ボウル)ボウリング場
(赤沢海洋深層水展示館)展示館 - 所在地:静岡県伊東市
- 延床面積:
(赤沢スパ・赤沢迎賓館)7,049.04m2
(赤沢ボウル・展示館)2,774.68m2 - 階数:
(赤沢スパ・赤沢迎賓館)地下1階/地上2階
(赤沢ボウル・展示館)地下1階/地上1階
建築設計主旨
当計画は、海洋深層水事業を基幹とした宿泊、スパ等からなる和の複合リゾート施設群です。豊かな原生林と海の恩恵である海洋深層水を、自然の恵みとして受容するに相応しい建築の在り方と、和の建築が持つ自然と建築との共生・融合である「庭屋一如(ていおくいちにょ)」をテーマとしています。
設計にあたり、改めて日本の伝統的な建築を分析しその特徴である雁行配置、建築の分節と連結、屋根の重層性と軒下空間の曖昧性等を、自然環境を尊重しながら再構築しました。
緩やかな傾斜がある地形に従い起伏に沿う断面計画とし、複数の屋根が緑の中で折り重なる風景を創出しました。ホルトノキ等の既存の大径木など原生林を積極的に取り込み、借景として或いは庭園として、部屋の随所から、季節や時間の移ろいを感じられる配棟計画としました。
また、新たな癒しへの試みとして海洋深層水(原水、RO濃縮水)を利用した客室の掛け流し露天風呂と湯屋やプールは、太古の海の恵みを体で感じることができる他には類を見ない施設です。
インテリア空間は日本の伝統的な技術と作法に基づきながら現代の素材を繊細に挿入する事で新たな和の表現を追求しました。
構造設計主旨
各棟の和風の切妻屋根を、軒と室内の連続性を強調するために、フラットスラブにより支持する形式と、垂木状に細かく小梁を配置して支持する形式の2種類のパターンによって構成し、棟ごとのデザインによって使い分けて計画しています。
プール棟を除く各棟は、両方向とも外壁や間仕切り壁の一部を耐震壁として利用することによって、建物の強度を高めて耐震安全性を確保しています。
プール棟は、山型架構の柱頭同士を結ぶタイロッドを配置して、柱頭が両側へ開こうとする荷重を低減し、軽快な柱列とフラットスラブの屋根により架構を構成しています。建物短辺方向は両妻面の耐震壁、長辺方向は柱・梁によって地震力に抵抗する構造としています。
設備設計主旨
沖合い5km水深800mよりくみ上げられた海洋深層水の有効利用と省エネルギーを設備計画テーマとしました。
海洋深層水は、ミネラル分を多く含み、幅広い利用が期待される新しい資源といわれています。その美容効果を期待して、プールや湯屋には原水を利用、客室の露天風呂には希少価値の高いRO濃縮水(逆浸透膜による)を掛け流しで利用しています。
深海からくみ上げた海洋深層水は水温が低いため、加温する際に多くのエネルギーを消費します。特に、客室の露天風呂に掛け流すエネルギーは、ボイラー燃料消費量の約3~4割程度(試算)を占めています。これらの燃料を節約し、有効利用を図るため、浴槽からオーバーブローされる浴槽排水と低温の補給水を熱交換させる、排熱回収設備を導入しています。
その他には、広範囲エリアにおける照明制御、中水利用、冷暖房負荷低減のための外断熱、Low-Eペアガラス等の省エネルギー技術を採用しています。
造園設計主旨
赤沢の豊かな原生林を海に、各建物(館)を海に浮かぶ島と見立て、館と館の間にできる空間を「和」の庭として表現しています。その表現要素は、天然素材を活用した自然との共生、確かな技であり、和のリゾート施設として自然と融合した「庭屋一如(ていおくいちにょ)」を実現しています。
この地は、富士箱根伊豆国立公園第2種特別地域に指定されており、出来る限り自然の地形や木々を残すことを心がけました。庭としては、自然をそのまま残すのではなく、人の手をいれた石組み等の人工物と組み合わせることで、自然との融和を表現しています。海に見立てた白砂、さざ波の瓦、月見台、堤石等、和の庭園の手法を駆使し、建築と庭とが一体になった表現としています。
アートワーク設計主旨
日本の伝統的技術である漆のパネル、日本画、西陣織、指物による照明器具に加え、現代の素材である再生ガラス、自然の花をはさみこんだ花ガラス等新しい素材を加え、室内空間を現代の癒しとしての和の空間に表現しています。
担当
大成建設担当者 | |
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設計 | 株式会社石田設計一級建築士事務所 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
造園基本計画協力 | プレイスメディア |
アートワーク | アートフロントギャラリー・斉藤上太郎 |
照明計画 | ヤマギワ |
展示ホール計画 | トータルメディア |
大成建設担当者 | |
建築設計 外構 インテリア |
桜本啓三、渕清和 |
構造設計 | 網干真一 |
設備設計 | 岡本隆、渡辺睦典 |
FFE | 星絵里香 |
ボウリング場 一般レーンインテリア |
徳野博子 |
施設計画 | 野沢弘樹、谷口智子 |
社外受賞
2010年 | インテリアプランニング アワード2010入選 |
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2011年 | 第15回 甍賞 一般部門 佳作 |