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WORKS 2007

安田女子大学 新9号館

用途:大学
所在地:広島県広島市
延床面積:14,026.17m2
地下:1階/地上:7階

建築設計主旨

2007年度の安田女子大学新学部(薬学部)開設に伴い、隣接する9号館(当社設計施工・2003年竣工・以下文中「既存棟」)を増築するプロジェクトです。
統一感を重視し一つの建物として見せること、既存棟と異なる要素を用いて建物にアクセントをつけることを求められました。
外部は、既存棟の曲面形状に対して、矩形ながら要素を踏襲したデザインとし、統一感とアクセントのある外観としています。内部は、7層吹抜けのアトリウムを持ち、既存棟アトリウムと一体化した大空間となっています。トップライトからの採光や、上階に向かってセットバックしてゆく曲面形状のラウンジなど、同質のデザインに加えアクセントとなる要素を組込みながら、親しみ易く環境にも配慮した建物となっています。
「柔しく剛く」という創立以来の建学理念のもと、女性の持つ柔らかさと剛さを建築に表現しました。

構造設計主旨

本建物では、隣接する既存建物の柱スパンと階高を合わせることを基本条件として計画しました。
敷地は一部傾斜のあるものの強固な花崗岩であることから、深礎を併用した直接基礎形式としています。地上部の構造種別は鉄筋コンクリート造とし、約17mのロングスパンには高い剛性を持ちながら梁成を小さく抑えることのできるプレストレストコンクリート梁を採用することで、床振動の障害を排除した居住性の高い空間を実現しています。
建物中央にある7層吹抜けのアトリウムを実現するため屋根や周辺通路に鉄骨梁を採用し、適切な(構造)配置計画を行っています。教室や研究室の将来の模様替えに十分応えられるよう、耐震壁がなく靭性の高いラーメン構造としています。

設備設計主旨

7層吹抜けのアトリウムは、日射遮蔽ガラスと電動ロールスクリーンを設置し日射制御と熱負荷低減を図っています。また中間期はトップライトの自動開閉制御により自然換気を行い、冬期は換気ファンにより上部の暖気を下部に循環し、夏期は上部の熱気を排出することにより省エネルギーを図り、建築計画と設備技術が融合された空間となっています。
2箇所の2層吹抜ワークルームには、当社保有技術である全面床吹出し空調システムを採用し、省エネルギーと快適性を両立しています。
照明計画では、昼光センサーによる自動調光制御、人感センサーによる段調光、施錠連動の自動消灯など省エネルギーに十分配慮しています。また、全館にカード式電気錠、主要箇所の入室には虹彩認証装置を設置し、薬学部としてのセキュリティを高めています。
将来の実験機器増設にフレキシブルに対応できるように、電気、衛生、空調のメインシャフトを外部バルコニー部分に設置する計画としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 増田裕康、高橋章夫、石原佳剛
構造設計 西川泰弘、井上慶一郎
設備設計 笹島修二、井上邦彦、宮本敬介
電気設計 笹島修二、林幸広
ランドスケープ 藤澤亜子
建築計画 増山格