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WORKS 2007

汐留MKタワー

用途:集合住宅、店舗
所在地:東京都港区
延床面積:615.63m2
地上:11階

建築設計主旨

汐留西地区(通称イタリア街区)の土地区画整理事業により、換地を受けたためのマンションの新築工事です。

貸室面積の最大限の確保
88m2狭小敷地の上に地区計画による壁面線の指定のある厳しい条件の敷地で、建物形状は隣地境界と壁面線にぎりぎりに建てることで決まってしまいます。屋外階段、エレベータ、避難バルコニー等を効率よく配置することで、1フロア-の有効面積を最大限に確保し、建物全体で許容容積率700%を全て消化しています。
SOHO利用を想定した間取り
多目的に利用できる空間を作るために、エレベータ、階段の縦動線と水廻り(バス・トイレ・キッチン)を可能な限りコンパクトに収める工夫として、それらを隣地側に対してL字型に配置し、残りの部分をリビングとするシンプルな平面としました。
イタリア街区への眺望の確保
敷地は、北側コーナーの方角に見通しの良い前面道路側とイタリア街区が位置し、イタリア街区の視界の先に汐留新都心の超高層ビル群が立ち並びます。この見晴らしの良いビューをピクチャレスクとして切り取るための大開口を北側コーナーに1箇所だけ設け、残りはSOHO利用に有効な壁面として残しました。
外観デザイン
多角形の平面形状と極端に塔状比が高いのがこの建物の特徴となっています。それを際立たせる為に、外壁に横張りスパンドレルを採用し、通常なら入る外壁の目地を消去しました。スパンドレルは特注でほりを深くした物を作ることで、細かい影ができ、下から見上げるとその影がだんだん濃くなるグラデーションの効果や、アルミが周囲の色を微妙に反射して、時間や、天気、見る場所によって様々に変化する繊細な外壁としました。

構造設計主旨

当建物は平面形状が6.3m×11.4m、建築物の最高の高さが37.2mと塔状比が5.9と極めてスレンダーな形状をしています。主体構造を鉄骨造とした5本柱の純ラーメン構造を採用しており、X方向の地震力に対しては4本の500mm×500mmのBox柱で抵抗し、Y方向の地震力に対しては4本の500角のBox柱と、アウトリガーとしての効果を期待した200mm×200mmの1本の柱、合わせて5本のBox柱で抵抗するように計画しています。
屋上には、居住性向上を目的とした2重式TMD制振装置を当社として初めて計画しました。従来のTMD制振装置同等の居住性の向上が期待でき、更に今まで問題とされていた竣工後、建物固有周期の変動の影響で生じる居住性向上効果の低減を防ぐことができます。将来設置予定の屋上看板などの積載荷重の増減や外装材のなじみ等々の様々な要因に対しても同等の性能を発揮できるようユニバーサルな設計を行っています。

設備設計主旨

狭い敷地という立地条件で賃貸面積を確保する為にシャフトの納まりには配慮し、スペースの合理化とメンテナンスの容易さを図っています。また受水タンクが不要な直結増圧給水方式の採用や11階部分に設置が必要なスプリンクラー設備の代替としてパッケージ型消火設備の採用により機械室スペースを最小限にする計画としました。
本計画では安全性に配慮し、空調や給湯を全て電気熱源とする全電化住宅として計画しています。また、SOHO的利用を考慮し、水周りは最低限の仕様とし、照明計画はライティングダクトを利用し照明プランの変更も容易に行える計画としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 川崎昭夫、杉江大典、西田勇人
構造設計 佐藤芳久、早部安弘、渡邉祐一
設備設計 高木健、小畠忠夫
電気設計 出野昭彦、小林卓哉

社外受賞

2008年 グッドデザイン賞