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WORKS 2007

開成学園那古宿舎

用途:合宿所
所在地:千葉県館山市
延床面積:1,667.06m2
地上:2階

建築設計主旨

当建物は開成学園の50年以上の歴史を持つ伝統的な行事、「水泳学校」のための施設です。
建設にあたり、

  1. 開成学園の校風である『質実剛健』を表現する建物であること
  2. 旧木造宿舎のイメージを継ぐ温かみがあり風通しの良い建物であること
  3. 安全かつ頑丈で、これからの歴史と共に上手に朽ちていくことのできる建物であること
の3つのコンセプトを掲げています。
建物の構成としては、1階を堅牢な打ち放しの鉄筋コンクリート造、2階を温かみのある杉板張りの木造としています。無駄な空間や装飾は極力排除し、素材感そのままのシンプルで力強い構成としました。
また、卓越した西から東に向かう風を積極的に取り込めるように、東西の建具を全開放できるようにしています。
既存宿舎の要素を各所に残すことで、新しい中にどこか「懐かしさ」を感じることのできる建物となっています。

構造設計主旨

当建物は、1階を耐震壁付ラーメン構造(RC造)、2階は構造用合板を耐震要素とし、集成材を用いた木造とする混合構造により構成されています。
2階居室部分は梁せい450mmの集成材を910mmピッチで配置し、燃え代を考慮した上で10mの無柱空間を実現しています。
また、居室間に設けられている収納棚は、水平力に対する抵抗要素および、柱材の座屈補剛としての役割を持たせ、建築機能を積極的に構造体に取り込むことを実現しています。

設備設計主旨

都会での学校生活を離れて、自然のなかで快適さを感じるような設備計画としています。
そのため機械による空調の範囲は極力減らし、生徒が滞在する2階和室では海側(西)と山側(東)の窓を全面開放とした、自然通風換気方式を採用しています。
施設の主用途が水泳学校であるため、夏休みには一日200人を超える利用者があるのに対して、その他のシーズンではセミナー利用で、多くても数十人程度となります。この対応として設備システムは段階的な運用ができるように配慮しました。
また、管理運営を先生方が中心に行うため、シンプルな設備システムとしています。実際にも少ないエネルギーで快適な居住環境となるようにご使用いただいているようです。

担当

大成建設担当者
建築設計 川村信之、横地哲哉、中塚大介
構造設計 西川泰弘、島村高平
設備設計 森山泰行、秋山聡、大木泰祐
電気設計 森山泰行、山中康弘、塚田文哉

社外受賞

2009年 第15回 千葉県建築文化賞
2009年 第8回 芦原義信賞 奨励賞