下北沢成徳高等学校
- 用途:高等学校
- 所在地:東京都世田谷区
- 延床面積:3,926.70m2
- 地上:4階
建築設計主旨
下北沢成徳高等学校は東京世田谷の高密度な住宅街の中に位置し、来年で創立80周年を迎える伝統ある女子高等学校です。今回の計画では、管理部門・多目的ホール・メディアラウンジを中心とした施設整備を行いました。
「下北沢の地に根ざした学校創り」をテーマとし、その実現のために3つのコンセプト、「多目的性」「環境共生」「緑のネットワーク化」を定め、計画、実施を進めました。
「多目的性」については、1階の表通りに開放された多目的ホール・スクールラウンジ・斜面緑化、3階のPC教室と視聴覚室、図書室を併設したメディアラウンジ、4階の屋上庭園と一体となった独立性の高い小ホールなどを実現しました。
「環境共生」については、アトリウムと自動制御ハイサイドライトによる自然通風確保、屋上緑化、既存校舎への斜面緑化、グリット庇の採用などを行いました。
「緑のネットワーク化」については緑地の点在化を積極的に行い、高密度な都心にありながらゆとりある教育環境を実現できるように計画しました。また、2期計画では、「緑のネットワーク」の中心である「緑の軸」に沿って展開する生徒達のホームルーム棟を提案しています。
構造設計主旨
多目的ホールは2層分の階高を有した17mのロングスパンであり、プレストレストコンクリート梁により梁成を抑えた無柱空間を実現しました。アトリウム上部に設置した張弦梁構造は構成要素のロッド材を積極的に内観デザインへ参加させつつ、合理的で軽快な構造計画としました。4階小ホールは、屋根面のブレースにより水平剛性を高め、地震力をエレベーターシャフトのRC壁に負担させることで、柱をフラットバー(50×100)とし、これをガラス方立と兼用することで、軽快で透明感のある柱の見えない空間を実現しました。
設備設計主旨
環境共生型学校建築を実現する為、空調負荷の削減、自然エネルギーの有効利用、居住環境の向上を目指しました。直達日射負荷を「ボックス庇」、「low-eガラス」で軽減しつつ、積極的な昼光利用を計画し、通風性のよいプランニング及びヒートチムニーによる自然換気を行う計画としました。確実な運用を促す意味で、自然換気窓の開閉は各種気象センサーと連動させ、自動で行っています。メディアラウンジは中間期昼間においては、照明・空調は停止し、自然換気窓は外気温湿度により自動開閉運営されています。吹き抜け部にあるメディアラウンジに当社開発の「全面床吹出し居住域空調(T-BREEZE)」を採用し、少ないエネルギーで快適な居住環境を実現しています。
担当
大成建設担当者 | |
---|---|
建築設計 | 小笠原祥仲、矢崎裕信 |
構造設計 | 大竹克浩 |
設備設計 | 龍英夫 |
電気設計 | 松村保彦 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、小倉満 |
社外受賞
2005年 | 照明普及賞 優秀施設賞 |
---|---|
2006年 | 第5回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 環境大臣賞 |