慶應義塾大学三田南館
- 用途:大学
- 所在地:東京都港区
- 延床面積:18,174.26m2
- 地下:5階/地上:11階
建築設計主旨
南館は慶應義塾大学三田キャンパスの南西端に位置し、法科大学院を始め、主に専門的な大学院教育のために利用されます。「丘の復元」「対話のスペースで継承する萬來舎の精神」「実業の世界へ開かれた三田の新しいゲート」「個性化/長寿命化を支えるフレキシビリティ」の4つのメインコンセプトを具現化するため、クリエイティブキューブと名付けた高層部基準階や新素材を用いたブリッジなど、建築・構造・設備が一体となったデザイン上、技術上の新たな試みを行っています。
また、既存建物「萬來舎」を新校舎屋上庭園に移築し、記憶を継承すると共に、新しい拠点のシンボルとして再生しました。
構造設計主旨
クリエイティブキューブでは、H形耐震壁をコアに配置し、建物外周部分を鉛直荷重のみを負担する壁柱とすることで、室内の柱形を無くしています。更に、天井をリブ付コンクリートスラブ直天とし、開放的で自由度の高い内部空間としました。
この構造は、建物全体を免震構造としたことで、成立しています。これに加えて、慶應義塾と共同開発したセミアクティブ制御システムを採用しています。センサーで地震時の揺れを計測し、コンピューターを用いて瞬時に可変減衰型ダンパーを最適な減衰性能に切り替えることで、中小規模以下の地震や風揺れ時の居住性を改善できる免震システムです。
設備設計主旨
設備計画においては、「自然エネルギー利用」と「快適性の向上」を目指し、様々な新しい環境配慮装置を提案しています。ピットに外気を取り入れ地中熱と熱交換することで空調負荷を軽減する「クールピット」、自然通風を開閉窓により制御する「アトリウム通風計画」、居住域に快適な空調を提供する「全面床吹出空調」「パーティション吹出空調」、リブスラブ天井とデザインの統一をはかった「設備ユニット」を実現しました。これらの技術によってCASBEE評価では、BEE=3.6のSランクを実現しています。
担当
担当 | |
---|---|
設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
外構 | MICHEL DESVIGNE PAYSAGISTE DPLG 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
萬來舎継承空間 | 隈研吾建築都市設計事務所 |
サイン | 矢萩喜從郎 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 芝山哲也、伊藤真樹、中川雄一朗、間田央 |
構造設計 | 篠崎洋三、萱嶋誠、藤山淳司 |
設備設計 | 豊原範之 |
電気設計 | 三宅英司 |
外構 | 蕪木伸一、藤澤亜子 |
社外受賞
2006年 | 第47回 BCS賞 |
---|---|
2007年 | 日本建築学会作品選集2007 |