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WORKS 2003

安田女子大学9号館

用途:大学
所在地:広島県広島市安佐南区
延床面積:12.412.66m2
地上:7階

建築設計主旨

学校法人安田学園より新学部(生活デザイン学科・管理栄養学科)設立に伴い新校舎の建築が求められたものです。
キャンパスの中心に広がる芝生広場に計画され、「柔しく剛く」という安田学園の建学理念のもと、女性の持つ柔らかさと剛さを建築に表現したものです。
内部には7層吹抜けのアトリウムを持ち、各教室群はアトリウムのトップライトからの光によって、廊下・教室・研究室等への両面採光を実現しています。又、教室の廊下側の壁をガラスとすることによって、効果的に取り込まれたアトリウムの光は、今までの薄暗い廊下を明るく健全なものへとしています。
「建物自体が学生への教材となる」というコンセプトのもと、様々な仕掛けが学生たちに生きた教材として提供される様仕組みました。アトリウムの露出の循環ダクトや上下移動する視覚から空間を更に認識出来るよう意図したシースルーEV等、建築的な仕掛けが学生達へ見て取れる様配慮されています。

構造設計主旨

主架構は鉄筋コンクリート造の純ラーメン構造を採用しています。南棟および北棟ともに、教室などの配置計画や、将来の変更に対応できるフレキシビリティを持たせるため、スパン方向は16.8~17.0mのロングスパンとし、PC梁を採用しています。基礎は、支持層(強風化花崗岩 N値>50)が北西(設計GL-5.5m)から南東(設計GL-14.5m)に向かって傾斜しているため北西側は直接基礎(基礎下ラップルコンクリート打設)、南東側は杭基礎の異種基礎を採用し合理化を図っています。外部連絡通路は、10.4~23.4mのロングスパンとするため、鉄骨造のフィーレンディール(一部タイロッドを用いたトラス)架構を採用しています。

設備設計主旨

環境にやさしく、自然エネルギーの有効利用に配慮した計画としました。
計画にあたっては、温熱環境シミュレーション(サーモキャンパス)、光環境解析(レンブラント)により検証を行いました。
環境負荷低減の主な項目を挙げると、教室は昼光センサーによる点滅・調光制御により適切な照度を確保しました。又、電動ロールスクリーンや庇による日射負荷、井戸水による屋根散水や屋上緑化による空調負荷の低減を図りました。アトリウムのトップライト部に自動開閉装置を設け、自然換気を促進しました。節水については、便器洗浄水にも井戸水を利用することで上水の使用量を削減しました。
アトリウムは居住域空調を計画し、床吹出し空調により省エネを図り、床冷暖房を採用し放射効果による快適性を実現しました。上下の温度差を緩和するため、夏期は上部の熱抜き排気を、冬期は下部への循環装置となるような換気システムを採用しました。

担当

大成建設担当者
総括 増田裕康
構造設計 井上博章、高橋章夫、小林浩、藤沢亜子、塚原香
設備設計 松原正安、大石哲哉、倉本真介
電気設計 武田良一、堀雄二、小林徹也

社外受賞

2009年 第5回 中国建築文化賞