日本経済新聞社 千葉別館
- 用途:日刊新聞印刷工場
- 所在地:千葉県習志野市
- 延床面積:9,329.62m2
- 地上:3階
建築設計主旨
ALCを用いた工場施設で積極的にデザインすることを目指しました。
ALCが板状の規格材であることを生かし、且つ否定的な部分である、面取りがされていて、材質がやわらかく塗装が必要という特性を補って、ALCらしさを追求したデザインとしています。
長方形の規格材であることを表現するために、建物のヴォリュームを長方形の面の集合体として構成しています。
このために横連窓側はプロフィリットガラスで地面から切り離し、ALCの連続体である長方形が宙に浮いた表現としています。
カーテンウォール側はALC板で構造材をサンドイッチする架構とし柱からのキャンティレバーで支えるなどALCらしい軽快な表現としています。
またコーナー部分はALC板の厚さを強調するため、やく物は使用せずに、通常の板材を持ち出す形で納めています。
ALC板が面取りされているので、コンクリートや金属パネルで可能なシャープなエッジによる光と影の緊張感はさほど期待できなません、そこで白と黒のコントラストを用いて別の形で緊張感を作り出しました。
このような検討の末、シャープなALCの建築を作り出しています。
構造設計主旨
構造形式は、遮音性・設備更新等の将来対応のため輪転機室を含む中央部はSRC造とし、外周部はS造としています。輪転機の振動が建物内に伝わりにくくするため、建物基礎の上に防振ゴムを配置した輪転機基礎を設けその上に輪転機を配置しています。海に近い敷地であるため塩害対策として、コンクリートのかぶり厚さを10mm増し及び半屋外となるトラックヤード部の鉄骨はエポキシ樹脂+ポリウレタン塗装を行っています。
設備設計主旨
新聞印刷工場としての性格上、輪転機稼動に伴い熱負荷が急変するため、それに対応できる熱源システムを採用しました。また、紙を扱うため室内の温湿度を一定に保つ必要があり、空調の吹出口および吸込口の位置を気流シミュレーションにより検討し、最適な温湿度分布を実現しました。
その他、年間運転に対する信頼性向上、海辺に立地することに対する塩害対策、省エネルギー、環境配慮を重視し、以下のシステムを採用しました。
- 温度成層型の水蓄熱システム(冷水槽と温水槽を設置)
- 全電気方式の熱回収熱源システム
- 空調機にバイパスダクトを設け、相互にバックアップを可能とした
- 密閉式冷却塔およびフリークーリングの採用
- コンプレッサー用冷却水は、冷却塔および熱交換器から供給可能とした
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 田中勉、飯吉厚太 |
構造設計 | 渡辺征晃 |
設備設計 | 安藤一成、梶山隆史 |
電気設計 | 吉永寛 |