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WORKS 2002

日本会館 2

用途:事務所
所在地:東京都渋谷区
延床面積:1,880.52m2(自動車車庫143.7m2含)
地上:5階

建築設計主旨

大規模オフィスは空間の高効率化、最新の空調・電気設備の装備、情報インフラの完備など、働く空間としての機能が極限まで高められていく方向にあります。
一方スモールオフィスと呼ばれる小型のオフィス空間はオーナーの考え方が色濃く反映され、さまざまな付加価値をまといつつ都市の中に単発的に出現しています。
今回の日本会館2は渋谷で小型の貸しビル業を営むオーナーの意向を反映したスモールオフィスです。
井の頭通りをはさんだ向かい側にはNHK、代々木公園が位置し、歩道には緑豊かな街路樹が育つ環境的に恵まれた敷地です。
われわれは渋谷駅からアクセスする視線と、カーブする井の頭通りの交点としてのコンテクストを計画にとり込み、最上階である5階を袖壁をかきとった構成として特化、1Fをショールームとしても機能するフロア貸しのテナントビルとしての計画を進めました。
後に外資系企業の中でも自由な雰囲気を誇る世界的なスノーボードカンパニーであるバートンが、天井高5.4mある眺望のよい5階のガラスボックスをプレス対応のプレゼンテーションルームにしたいということからテナントとして決まり、空間を生かしたテナント対応設計がなされました。
このようにスモールオフィスの特徴は

  1. 大規模オフィスに無い個性豊かな空間
  2. テナントが決まった場合はオーダー設計による、テナント対応設計
  3. 北側全面ガラスというような、敷地環境にマッチしたデザイン
とまとめることが出来ます。
別の言い方をすれば、大規模オフィスが「良く出来た高級既製服」とすれば、スモールオフィスは「個性豊かなオートクチュール」という比喩が当てはまるのではないでしょうか。


構造設計主旨

スモールオフィスでありながら開放的な執務空間を実現するため、間口約17.6mのロングスパンを、振動障害に配慮しつつ、単スパン構造の無柱空間として設計しました。
また、本建物のポイントである5階ガラスカーテンウォールは、ロッドで構成された面外補強材を配することにより、視界をさえぎらないサイズの方立で支持することができ、眺望の良いガラスボックスを実現しました。

設備設計主旨

給水設備
水道本管より受水槽を経ずに、直接ポンプで送水する「増圧給水システム」を採用し、受水槽設置スペースの省略を行いました。
また、低層階においては、水道本管の圧力の範囲内であれば、ポンプ動力を使用することなく、送水することができ、省エネルギーを図っています。
空調設備
当初、情報系のテナント入居が予想されたため、マルチエアコンによる空調方式で、同一系統の室外機から、冷房・暖房の選択可能な「冷暖房同時型」のマルチエアコンを採用しています。
最上階の天井高さ、5,500の高天井部分は、空調効率を考慮し、階の中間部分からノズル吹き出し方式とし、かつ、ガラス面の結露防止およびコールドドラフト防止として、窓面下部に電気ヒーター(コンベクター)を設置し、快適性を高めました。

担当

大成建設担当者
総括 村上公一、吉田進
建築設計 中澤織行、西裕子
構造設計 前澤澄夫、藤村太史郎
設備設計 市橋隆、角田宜彦、根本昌徳