HOME > WORKS2002 > キュービック・エム

WORKS 2002

キュービック・エム

用途:集合住宅、店舗
所在地:東京都渋谷区
延床面積:3,130.45m2
地上:9階 / 地下:1階

設計主旨

リアルバルコニーの創造
キュービック・エムは新国立劇場があり「劇場都市」と命名されている初台周辺地区に立地しています。
この場所に集合住宅を建築する際のコンセプトは、設備処理にとかく利用されがちな住宅のバルコニーを歌劇場等に見られるようなボックスシートとしてのバルコニーへ昇華させ、住戸=ボックスシートより、「劇場都市」という偶発的な演劇の舞台を眺める「劇場としての住宅」を創るということです。
具体的には室内とバルコニーの床・壁・天井がガラスとモノリス(フラッシュ扉)を挟んで完全に連続する一つの箱を創る行為です。
そして、これを実現する為には、従来バルコニーに存在した要素を消去する必要があります。

柱型・梁型
B1F~2Fの店舗階にはスパン9400の通常のRCラーメン構造を採用しながら、3F~9Fの住戸階では柱を壁厚300の偏平柱に、梁をスラブ厚280(端部400)の偏平梁として柱型・梁型を消去しています。また恩恵として高い遮音性能を持つ住戸を得ることができます。
エアコン・給湯器
エアコン室外機は建物妻面にエキスパンドメタルで覆って配置。給湯器は中廊下のPS内に配置しています。冷媒管やガスの排気管は黒テープ巻きとし、中廊下の天井内を渡らせています。またその天井はエキスパンドメタルのパネルとしており、その1枚分がヒンジにより開閉する機構を持ち、法的に定められた目視での確認とメンテナンスが可能となっています。
排気口
排気のルートはバルコニー側に出さず、エアコン・給湯器と同様、中廊下を通し妻側へ排気しています。ベントキャップは妻面のエキスパンドメタルの内側に設け、外部から隠蔽しています。
給気口
フラッシュ扉の上部に同幅・同面で遮音性能を持つエアブレスを設け、そこから給気を行っています。
竪樋
竪樋はコンクリート袖壁の中へ打込み、内部・外部から見えない納まりとしています。その際、中継ドレンが納まる460×350の開口部の竪樋は別パーツとしてソケット接続になっており、清掃メンテナンスを可能としています。
サッシ
サッシ・カーテンボックスは躯体飲込みの納まりとし、壁・天井の連続性を表現しています。また、サッシと同面に納まるモノリス状の扉を表現するためにフラッシュの開き戸を採用していますが、通常の住宅サッシに要求される機能を満たすために、サッシにレールを組み込んだロール網戸と、通風の確保できるドアガードをセットしています。
スラブ段差
バルコニー床には室内床と同面で見せる為に押出成形セメント板を敷き込んでいます。これは通常の2重床をローコストに実現する方法です。セメント板は外壁タイル張り用のリブの付いたものを転用し、ノンスリップ床としています。

担当

大成建設担当者
総括 河野晴彦
建築設計 中藤泰昭、古畑文子
構造設計 前澤澄夫、永井裕、勝倉靖、小山実
設備設計 嶋村和行、藤村庄次、梶山隆史

社外受賞

2004年 グッドデザイン賞
2004年 東京建築賞 第30回建築作品コンクール 共同住宅部門
2004年日本建築学会作品選集2004