ITC銀座2丁目ビル
- 用途:物販店舗
- 所在地:東京都中央区
- 延床面積:1,499m2
- 地下:1階/地上:4階
建築設計主旨
銀座並木通りに面した靴の輸入販売店ABCマートの銀座1号店です。
施主要望はローコスト、短工期、店舗の大きなガラススクリーンと最大限の店舗有効部分の確保、付置義務駐車の適用除外、直通階段は一つとし、将来店舗増床の対応を図る事等でした。
計画地は並木通りの外れですが、将来新しい街並みが期待されている場所です。銀座の店舗には、ブランドイメージという「見えないもの」をいかに扱うかで高級感を演出し街並みを作って来た歴史がありますが、この建築は、「見えるもの」である商品をそのまま惜しげもなく見せる事を目的として作られています。具体的には、外部から室内を見渡せる店舗としての視認性を満足させる為に、ファサードは全て透明ガラスで構成しています。そのイメージはCD-ROMのツルツルで無機的な表情と、そこに内包された膨大な情報量の関係に近いものです。つまりこの計画の特徴は、建築として意味や空間性等「見えないもの」を表現することではなく、ショーケースとして内部の「見えるもの」を視覚的に伝える為に、建築的存在感を消そうとしている点です。また、「見えないもの」をイコンの様に大切に表現し育んで来た銀座の街作りに対し、全てをさらけ出してしまう様なこの場所の誕生が、新たな変化の兆しとなります。そしてこの建築の姿が、シンボルや物語性からデータやソフトウェアへと価値観が移行して行く新しい時代感覚と共に、再生し続ける銀座のイメージ創出に繋がればと願っています。
構造設計主旨
間口の狭い梁間方向は1スパン、桁方向は3スパンからなる純ラーメン架構としました。また、構造種別は短工期と軽量化を考慮し、鉄骨造としています。並木通り外壁サッシュ面は柱をセットバックさせ、跳ね出しフレームと釣り架構による広い空間を実現し、また2階から3階への吹き抜け階段は跳ね出しとする事で、軽快な構造としています。
地下は工期短縮を計るため、既存躯体の解体を極力少なくした計画とし、さらに既存地下外壁は山留壁に利用し、マット基礎による直接基礎を採用しました。
設備設計主旨
『初期照度3000ルクス以上の高照度空間の確保』と『銀座に建つ商業施設に相応しく、従来の靴量販店をイメージさせない』事を照明計画の主旨としました。高照度空間を確保する事で、天井面が照明器具だらけになってしまうのを避けるために、照明器具自体がコンパクトで高効率な器具を採用し、光源としてはコンパクト蛍光灯とHID灯の併用方式としました。異なる2つ光源のミックスにより、商品本来の色や質感が出やすい光環境になる様に意図しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 川村信之、坂井明雄 |
構造設計 | 高橋克治 |
設備設計 | 秋野陽一郎、小野田修二 |