石膏ボード工場見学
- 協力:吉野石膏株式会社千葉第2工場
浅野 剛史(建築)
2008年入社
今回の研修では、建築の中でも特に耐火、遮音、断熱などの性能に優れた建材である石膏ボードの生産過程を見ることで、その性能はどのようにしてつくられているのかを知ろうと思った。
吉野石膏株式会社は、タイガーのCMで有名であり、建築を志す前からその存在を知っていた。今回はその主力商品であるタイガーボードの生産から出荷までの一連の流れを見ることができた。
生産過程は、まず原料となる石膏が船によって運ばれてきて、それを工場に荷揚げし、工場内で山となって積まれる。その石膏を粉砕し過熱し、焼き石膏となって水、混和材、添加剤が加えられて混練したものをボード用原紙の間に流し込んで成形していた。
工場の長手方向にコンベアに乗って流され、カットされる前の石膏ボードの姿は圧巻であった。その後、カットされた石膏ボードは再度ドライヤーで乾燥され、商品用の企画サイズにカットされていく。カットされたボードは機械によって積み上げられ、リフターで所定の枚数まで積み上げられる。積み上げられたボードは製品倉庫に保管され、さらに加工工場で2次加工されるという流れだった。
そして、この生産のほかにタイガーボードの特長として耐火、遮音、耐力に強いなどの性能を出すために総合性能試験センターで実験が行われていた。
ここには、耐火性能の確認のために面積約9uの大型壁まで実験が行える大型の耐火試験炉がある。残念ながら実験している様子は見学時に見ることはできなかったが、ガスバーナーを点火しているところを見せていただいた。石膏ボードが耐火性能を発揮するのは、石膏ボード内に結晶水が含まれていて、火を加えても温度の上昇を防ぎ燃えにくくしているということであった。
また、地震や衝撃、加圧などの状況を想定した試験を行うことができ、石膏ボードの耐力を検討できる総合耐力試験装置で実験が行われていた。
さらに、石膏ボードの遮音性能を計測するための実験を行う総合音響試験室では、音響実験を体験し、遮音性の高い石膏ボードの遮音能力を知った。隣の部屋で大音量の音を流している中で聞こえてくる音は小さく会話をしていたら気がつかないほどでもあった。薄いボードであってもこれだけの遮音性能を持っていることに驚いた。
石膏ボードは、性能が高いということだけでなく、建設時の石膏の廃材などを再利用し、石膏ボードの一部となって再び使われることなどから環境にも配慮している優れた建材であるということを知ることができた。
この工場でさらに新しい石膏ボードを開発し、今まで以上の使い方ができるかもしれないらしいので、今後も注目していきたい建材だと思った。