デザインディテール研修
- 課題:スペインに建つ住宅
山村 周平(建築)
2007年入社
God is in the details −Ludwig Mies van der Rohe
神は細部に宿る。というミースの言葉である。僕はその言葉を知ってはいたが、理解をしていなかった。そして今もしていないと思う。
ディテール研修を行うにあたって、僕が唯一考えていたことは、そのミースの言葉のようにデザインのコンセプトを細部で表現する、という挑戦である。
与えられた課題はスペインに建つ小さな住宅である。英文で書かれた設計者の意図を読みとり、『素材を活かすディテール』をコンセプトにした。
もちろんディテールなど描くこと自体が初めてであったので、最初のうちはとにかく事例を探した。木製サッシ、ガラスカーテンウォール、屋根防水など参考になりそうなものはとにかく探した。まずはそれを素に一度図面を書いてみることにした。段々形になってきたあと、もう一度コンセプトに戻ってその収まりを検証する作業を行った。一番苦労し、力を入れたのは屋根とコンクリート壁/屋根とガラスの収まりである。一方でガラスの美しさと透明性を求め、一方ではコンクリートのマッシブさを求めるという矛盾をいかに屋根との取り合いで解決するかということを考えた。手書きで何度もスケッチを描き、多くの事例を探しながら最終的にステンレス防水のシーム溶接による屋根防水を採用するに至った。屋根の見付部分を極力薄くすることで素材の美しさのみが見えるような構成を作り出そうとした。
他にも苦労を重ね描いていったディテールは多くの欠点も存在しているのだが、1本1本の線にはきちんと意志があるものになったと思う。細部に神が宿ったかは定かではないが、想いは宿ったはずである。