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TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

衛生陶器・タイル工場見学

協力:株式会社INAX 榎戸工場、日本モザイクタイル株式会社

各務 篤史(建築)
2005年入社



愛知県常滑市は昔から窯業が盛んな地域で、見学した衛生陶器とタイルの工場はこの地場産業の延長線上にあるのだが、生産ラインの中には昔ながらの手工業的な部分と、最先端の技術とが融合していた。

衛生陶器は、泥しょうを原料とした素地材料を型に流し込んだものを、乾燥・焼成してつくられる。型から取り出された段階の陶器は、水分を多く含み、一回り大きい。ここから、ゆっくり乾燥させ水分を抜き取ることで、収縮する。この乾燥の過程を急ぐと、たちまち表面にひびがはいり、不良品となる。この乾燥過程が生産性の向上のための肝となるので、原料の配合、工場内の室内気候など、この工程のために幅広い分野での気配りが必要になるそうだ。ここで得られた技術、知恵が現在のロボットによる大量生産を支えている。華やかに見える科学技術だけが主役ではないのだ。

これに近接するタイル工場にも、ここでしかみられない最先端の技術が見られた。裏足つきの薄型湿式タイルだ。乾式にはだせない風合いをもち、スクラッチなどの加工を施すことができる。案内してくださった開発担当の伊奈部長が独自に考案なさったという、プラスチックお盆のテクスチャというのも、なかなか他ではみられない味わいがあった。

今回、2つの異なる工場を見学したが、共通して感じられたのは、案内してくださった方々の熱意である。ご説明の言葉の一つ一つに技術者としての誇りが感じられ、製品に込められた知恵や技術がこれを裏付けていた。こうした製品を、建築物として統合する者の責任の大きさを感じさせられる研修であった。