オムニア板工場見学
- 協力:タカムラ建設株式会社
西崎 暢仁(建築)
2005年入社
今回お世話になった工場は、オムニア板とPCを製作している工場でした。オム二ア板は、現場研修の時に、東池袋三丁目作業所でマンションの建方工程の際にサイクル工法を使用しており、工期の短縮にメリットがあるとして使われていたのを覚えていました。壁や柱がほとんどPC化されている時代に床もPCがあれば活用できるのにといった、発想から生まれたと後になって聞きました。遮音などを気にするマンションやオフィスなどの需要があり、床の広い、商業施設や工場などは同じような使われ方として、合成デッキのようなスラブが用いられるそうです。
工場内の工程では、調合、型枠、配筋、流し込み脱型、養生が一サイクルであったことはこれまでの工場見学と 変わりはありませんでした。しかし、大きな相違点は、その単一の大きさということです。大きいということは、精度や品質にばらつきがでるものです。そこで、このタカムラ建設では、型枠から脱型までを機械で行っているということでした。とてつもなく大きな機械がCADで製作した工作図通りに型枠を作り、他から調合したセメントが運ばれて上から流します。スランプがゼロのセメントを用いてもバイブレーターが隙間まで均一にセメントを流し込む様子はとても繊細な作業のように見えました。
オム二アやPCの最大のメリットとしては足場を無くし、無駄なフカシを削減できる事が挙げられます。しかし、それは設計者のデザイン的な観点からすると画一的な発想でしか生まれないデザインになるのではないかという懸念があります。
しかし、社長の高村さんは、設計者のポジションを経験から話して下さいました。
「設計者は変更しても笑ってりゃいいんだよ」
と言葉は少し大げさかもしれませんが、私には、高村社長が元ゼネコンマンだという事を知ってからは、この言葉がとても大きな事に思えました。
最近、ようやく業務の中で一人でやることが増え、確認をとりながらではあるが決断や判断が任されるようになってきました。その時に、設計者として、常に曲げない信念こそ、逆にチームをスムーズに進める事だと感じるときもあります。
デザインの妥協を工場と話さないで勝手に変更するより、まずは工場と相談してからやりたいことをぶつけてみてからでも遅くないと思います。同じ、モノ作りの仲間としてはそれを裏切らない人たちだと感じました。