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TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

家具製作所工場見学

協力:株式会社三越環境デザイン 家具製作所

福田 健史(建築)
2005年入社



家具製作所の一番の印象は、マニュファクチュアだなあと感じたことです。CADデータによる機械切削での部材切り出しなどが導入されており、可能な限りの工業化が為されてはいましたが、

  1. 木材の材料特性は均質ではなく、種類による差や個体差、部位による差がある。
  2. 木、金属、布、皮革などの異素材が組み上げられる製品である。
  3. 特注生産が多く、生産ラインを固定できない。
などの理由から手作業による工程が多くなってしまうようです。 しかし、製作所の中を見学させていただいていると、機械化されている部分と手作業による部分が大変うまく組み合わさっているように見受けられました。具体的には、部材の切り出し寸法にはデジタル計測を用いることで個人差をなくし、これによって、仕上げ工程の手作業を誰でも行うことができるようになります。つまり、従前では一人による一貫生産色が強かった(複数人による共同生産が難しかった)ものが、複数人による生産が可能になったということです。

このようなことは、建築とも相通ずるところが少なくないと思います。建築でもCAD化が進み、ミリ単位の納まりの「検討」ができるようになりました。しかし、施工段階ではミリ単位の精度を実現することはとても難しく、結果として、「図面上は納まっているが、施工上は納まっていない」などということも起こります。つまりCADに代表される機械化と、施工の手作業との受け渡し部分のあり方が成熟していないような気がします。一概に家具と建築を同様に語ることはできませんが、学ぶべき部分は多いのではないかと思いました。

見学の最後に、手作りの道具を見せていただくことができました。ものすごく小さな豆鉋(マメガンナ)や、木目によって削る方向を変えることができる鉋です。家具の場合には職人さんが道具の開発も行っているわけですが、建築の場合には設計の役目だと思います。設計者がイメージを具現化するための納まりを考える。さらに施工方法を考える。その方法が特殊なのであれば、工程を補助するような道具を考える。そんな設計ができればすばらしいと思います。そして、このような設計スタンスを持つことは、CADによる設計と、施工による実現をスムーズに行うことにつながるのではないかと考えています。