TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

GRC工場見学

協力:旭硝子ビルウォール株式会社協力工場 株式会社タムラ大利根工場

齋藤 洋平(建築)
2004年入社



GRC(Glassfibre Reinforced Cement)とは高強度モルタルを種々の方法で耐アルカリガラス繊維と複合したものである。セメント系材料は、高い圧縮強度と長期耐久性があり、しかも安価なため鉄筋や石綿などにより引張強度を補って建築、道路、水路その他の材料として、とても重要な材料となっている。現在では高意匠建材、景観建材などを主体に広く使用されている。

今まで様々な工場見学に行ったが、こちらは他の工場に比べて決して大きいとはいえない工場であった。しかし工場内には様々な外壁のモックアップがあり、中にはルイ・ヴィトン銀座並木通り店や青森県立美術館など最近の話題となっているプロジェクトのモックアップも雑然と置いてあり、GRCの需要の多さと意匠性の多様さに驚いた。また、工場の方々がGRCに対する技術力は他には負けないといった自信に感銘を受けた。

GRCは工業製品としての様々なニーズに応えられるだけの意匠性、耐久性や施工性を備えており、近代建築を語る上では外せない材料の一つであるといっても過言ではない。
私自身がGRCに興味をもつ特徴として二つ挙げる。

・様々なデザインの可能性が広がる素材であるということ
これは、建築デザインをする上で重要なことで、設計者やクライアントが意図するデザインを可能にするだけの加工性を備えた材料である。これはオリジナリティあるデザインを創造するうえでとても重要なファクターとなる。

・工期、建設コストの低減につながるということ
現在、建築業界では工期の短縮やコストの削減など厳しい状況化に置かれている。GRCを材料として考えることは、必要不可欠である。例えば、GRCはRCやALCよりも軽量で、人力でも運ぶことが可能で、施工が比較的簡単となり、建築業界のニーズに応えることができる材料である。

この他に寒冷地での設置にも優れていることなど、多くの利点がある材料である。しかし、建築材料と利用されたGRCのリサイクルが行なわれているか否かを工場の方に聞くことができず、今回の工場見学では解からなかった。地球温暖化防止等、環境負荷低減・環境保護・エコ材料などの説明していただけたら、よりGRCのもつ素材のすばらしさが伝わったように思う。

今回のGRC工場見学は建築をデザインするうえで材料に対する、あくなき探求心と好奇心を持ち続けていきたいと感じた研修であった。