電算研修
- 電算研修概要
- ・構造設計でよく使うソフトの概要とその環境(ネットワーク利用)を学ぶ。
- ・計算系ソフトとしてFORCEを使用し、手計算との対応を把握する。
- ・構造図作成においてCADを駆使できるように習得する。
村瀬 正樹(構造)
2005年入社
「つくる精神」
近年建築物に求められる性能および形状はますます多様化し、設計者として求められる資質とスキルも高度化している。
建設業に携わる以上、世の中のニーズに対してより質の高い作品を提供しようというのが、分野を問わず設計者の目指すひとつの答えとして存在することは間違いないが、山積みとなる目の前の仕事の中で結果のみを追い求めがちになる傾向が多少なりともあるように感じられる。
電算機器の発達した現在において構造設計分野で解析プログラムの果たす役割は大きく、今や当たり前の存在として設計業務の一端を担っているが、その存在が多大なものになればなるほど一種のブラックボックス化した風潮を招く恐れも高くなる。
こうした中で構造設計者として求められる資質とはなんであろうか?
それは間違いなく建築物を「作る精神」であるように思う。
先にも触れたが電算ソフトの発達は目覚しく、構造についての深い知識や鋭い感性のない人間であっても求められた入力に従い無機質なキーボードをたたくだけで、図−1や図−2のようなモデルや応力図を描くことが可能となっている。
もはやこれは構造設計の仕事ではなく建築設計者や設備設計者がふと構造的な検討を行うレベルの話まで到達しつつある。
では構造設計者は何をするのか、それはこの無機質な作業を自分自身の知識・発想・経験により、有機的な作業へと変換することである。
「作られる建築ではなく、作る建築を」、この構造設計者としての本質を決して忘れてはならない。
電算研修を終えて電算ソフトの高性能化を身をもって知ることができた。
これから先も更なる高性能化がなされるであろうし、また一設計者として私自身もそれを歓迎したいと思う。
しかし、それと同時にこの諸刃の剣を自分の確実なる武器として扱い、建築物を作る精神を磨くことも必要となってくることを、構造設計者一人一人が今一度肝に銘じる必要があのではなかろうか。
図−1 モデル化
図−2 応力図
上図はいずれも電算ソフトFORCE-G使用