TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

石工場見学

協力:株式会社ガイアテクノ 三重工場

勝又 俊男(建築)
2003年入社



石切場の見学。今まで目にしていた石の建材といえば既に建物に使われていて加工済みのものばかりだった。石には御影石、大理石という種別があって大理石は雨に弱いので屋内用、御影石を床仕上げに使うときはバーナー仕上げということくらいの知識しかもっていなかった。そもそも石という建材に対しては、なんとなくお堅い印象しかもっていなかったのだが、桑名の地で出会った石たちによって、私の石に対する考えは一新させられることになる。

海外の山で切り出されて遥々船で運ばれてきた原石達はどれも大体1m×1m×2mくらいの大きさで、屋外に大理石と御影石と分けられて並べられ長い列を形成していた。1つずつ三木さんの解説を聞きながら石たちを触って見て歩く。有名なビアンコカラーラや私の好きなカーンが使ったトラバーチン、他にも次から次へと不思議な質感の石たちが出てくる。まるで人が一人一人違うように、そこに並んでいる石たちは、どれ1つとして同じものは無かった。桑名の工場では原石の輸入から切り出し、加工、仕上げまでと、すべての工程が施される。全国でも数少ない一貫工場の1つである。そこで見た工程のすべてを今ここで述べることはしないが、1つ感想を述べるとすれば「石は生き物であるということ」を痛感した。母なる大地より出で、人の手によって息吹きこまれ、さらに美しく昇華する。石が形成され建物になるまでにかかった時間を思うと、なんとスローで雄大な出来事であろう。日本には組積造の歴史が無く、現在でも石といえば高級な仕上げ材という使われ方がもっぱらだが、ここで見て触って感じた原石たちのもつ魅力は今まで持っていた石に対する概念を変えるほどすごいものであった。