GRC工場見学
- 協力:旭硝子ビルウォール株式会社協力工場 株式会社タムラ大利根工場
米澤 俊樹(建築)
2003年入社
GRCの主な工法としてはプレミックス法、ダイレクトスプレー法があり、今回の工場ではダイレクトスプレー法がメインであった。モルタルとガラス繊維を同時に吹き付けるものであり、一見してPCとの区別がつかないような製品もあったが、その特徴の違いとしては軽い・塩害に強い・長大なものをつくれる・造形性が高いといったことが挙げられるようだ。だが価格の面ではPC・ALCに勝てないということもわかった。お互いの利点を生かしながら使い分けていくということが重要になってくるのだろう。
GRCの制作の肝は型枠の作成とその技術にあるようだ。実際、PC・ALCと比較しても、材料費自体に差は無いが、型枠代とその作成の手間がかかるということであった。ひとつの型で大体60回くらいはつくれるそうだが、そういったことを意識して設計する設計者が少ないということを幾度となく言われていたのが非常に印象的であった。作り手にとってみればまだまだGRCを使うことの利点が十分に生かしきれていないという思いが強くあるのだろう。また、GRC自体には伸縮性が無いため、伸縮目地が不要であるというのもデザイン的に非常に大きなメリットであると考えられるのではないだろうか。
GRCの装飾性に関することで、工場の方がとてもユニークな表現をされていたのだが、GRCの型はDNAのようなものなのだそうだ。昔の装飾の型を採り、複製の型を作り出して現代に再生する。それは決して本物ではないが、石の見学に行ったときにも感じたことを踏まえていえば、ひとつの工業製品として過去のもの、自然のものを建築に効率的に用いるという、非常に理性的な発想だとおもう。その理性的な発想が極めて生物的な合理性をともなうものであることが非常に面白いと感じた。身体の延長としての建築とその構成要素。GRCの自由な装飾性は極めて人肌に近いものなのかもしれない。