サッシ・ガラス工場見学
- 協力:不二サッシ株式会社千葉工場、日本板硝子株式会社千葉工場 、NSG関東工場
永井 秀幸(建築)
2004年入社
今回の見学を通して強く印象に残ったことは、日々目覚しい進歩を遂げ、概して現代的な建築要素の代表格と捉えられがちなサッシやガラスといえど、その製造工程においてはハイテクを利用したオートメーション化が進みつつある一方、近代的な巨大機械のもつ粗野さ、またひとの手によるブリコラージュ=器用仕事の側面をも色濃く残しているということであった。
まずアルミサッシについて述べると、アルミはその軽さ・シャープさによって現在最もその可能性がもてはやされている素材の一つであるといえるが、倉庫に積み上げられたインゴット、またそれらの鋳造工程から受ける印象は重厚そのものである一方、サッシの製品精度の要となるダイスの生産には、エレクトロニクスと熟練したひとの手の融合が見られた。
またガラスについては、まず無垢の板ガラス製造において原料の溶解からフロート・除冷まで全てを担うの一方行の長大なラインと、それをとりまく轟音と文字通りの激しい熱気に圧倒された。その反面、表面やエッジ処理、ペアガラス化といった二次加工の現場は、ガラスが削られ、割られることで発せられる独特の乾いた音や、クリーンルーム内で行われている精密加工の光景に取り囲まれ、ぴんと緊張感が張り詰める前者とは全く対照的な空間であった。
このように生産現場で稼動する機械や働く人々に直に触れることによって学び得たことは、我々設計者にもこれらのプロセスに十分にコミット可能であるということであり、またその役割を大きく期待されているということであった。今後設計を行う際は、この経験を糧に窓1つ、ガラス一枚の決定に関しても常に挑戦的に創意を発揮してゆきたいと強く感じた。