2022.01 「新宿住友ビル」がグッドデザイン賞を受賞
当社共同設計・当社施工作品の「新宿住友ビル」が、「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
さらに、複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインが必要とされ、デザインへの期待が高まっています。
グッドデザイン賞は、審査と多様なプロモーションを通じて、デザインに可能性を見出す人びとを支援し、デザインにできること・デザインが生かされる領域を広げ、私たちひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会をめざしています。
グッドデザイン賞:
http://www.g-mark.org/
新宿住友ビル
全天候対応のイベントスペース:恐竜展などの大型展示や、スポーツ観戦イベント、飲食物販イベントに対応できる無柱空間は、屋根を多面体で構成したシンプルな幾何学立体形状により実現
(写真:©ディノアライブの恐竜たち展 株式会社ON-ART)
西新宿エリア空撮:屋内アトリウム空間は、前面の国家戦略道路占有事業区域として認定された新宿副都心中央通りと連結し、新宿駅から新宿中央公園に繋がる西新宿のにぎわい形成に貢献
全景:1974年、日本初の高さ200mを超える超高層ビルとして誕生した「新宿住友ビル」。今回の改修は、超高層ビルの新しい在り方を示すプロジェクトとなった
【概要】
築47年の超高層ビル初期、歴史的価値が高い「新宿住友ビル」の改修。
長寿命化を図り、西新宿活性化の新拠点とする為、低層部の公開空地をガラスの大屋根で覆い、全天候型の地域に開かれた「人々が集うパブリックエリア」に再構築。
慣れ親しんだ「三角ビル」のレガシーを継承しつつ、未来につながるレジリエントなデザインを施しました。
【デザインのポイント】
- ・築47年の超高層ビル足元をガラス大屋根で覆い、都市空間に新たな屋内型パブリックエリアを形成
- ・鉄骨量の少ない既存建物の特徴を逆手にとり、張力を応用した制震対策を新規開発(TMDロッドダンパー)
- ・ガラス大屋根と外部条件と連動した遮光可動式ロールスクリーンで太陽光を反射、ヒートアイランド現象を軽減
【背景】
本計画では「レガシーとして継承」する事をテーマに、今では採掘できない既存赤御影石の素材を再活用した迎賓空間をデザインしました。
屋内アトリウム空間には、淀橋浄水場のレンガ積の風景を継承しつつ空調・吸音・緑化など新たな機能を加えてインテグレートさせた内装壁を計画。
建築のみならず、歴史ある想い出深い既存樹の保存利用や、従前彫刻物も再配置し利用しました。
また、建物本体は開口部やファサードデザインを踏襲しながら耐震性能を高める為、全体曲げ変形が卓越するビルの特徴を利用した制振システムを採用。 この様に既存に新たな価値を付加する事で「建物が進化/成長」出来たと考えています。
建築主 | 住友不動産株式会社 |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿2-6-1 |
用途 | 事務所、集会場、店舗 |
構造 | 鉄骨造 |
規模 | 地下4階、地上54階(塔屋3階) |
敷地面積 | 14,446.46m2 |
建築面積 | 13,788.96m2 |
延床面積 | 180,195.16m2 |
設計期間 | 2011年8月~2018年6月 |
施工期間 | 2017年3月~2020年6月 |
基本構想・ 総合監修 |
住友不動産株式会社 |
基本設計 | 株式会社日建設計 |
実施設計 | (制振補強工事)株式会社日建設計 (大屋根・イベントホール設置及び関連フロア改修工事)株式会社日建設計、 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
施工 | 大成建設株式会社東京支店 |
設計担当者
建築設計
上甲孝
建築設計
管貴彦
建築設計
中野弥
構造設計
島村高平
設備設計
賀上貴明