当社設計・施工作品の「STACK IKEBUKURO」が、「2020年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られ、かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
さらに、複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインが必要とされ、デザインへの期待が高まっています。
グッドデザイン賞は、審査と多様なプロモーションを通じて、デザインに可能性を見出す人びとを支援し、デザインにできること・デザインが生かされる領域を広げ、私たちひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会をめざしています。

グッドデザイン賞：
https://www.g-mark.org/

池袋東口、サンシャイン60通りから一筋裏手に位置する間口わずか5mの商業テナントビルです。天空率制度を最大限利用して多層化を実現するとともに、敷地周辺に点在する「横丁」へのオマージュを取り入れたファサードにより、「池袋のまち」と「小規模店舗」のつながりを生み、地域に根差した賑わいある風景をかたちづくる建築をデザインしました。

【デザインのポイント】

1. 小規模店舗の個性が街を彩ったかつての横丁空間を現代に再生する、テナントを垂直に重層化した「立体横丁」
2. 商店群の多様性と個性の表出が行き交う人々の視線をいざない、来店へと動機づける、「屋根ひさし／袖看板」
3. テナントのインテリアが街並み景観の一部となる、店舗とまちを視覚的につなぐ「フルハイトのガラススキン」

[デザイナーより]
商業ビルはオーナーの経営における「事業性」だけでなく、街ゆく人々の来店を促す「誘引性」も求められます。
これらを両立し、加えて地域に根差した街並み形成に寄与する建築を目指しました。
狭小さに加え、細い道路の敷地条件の中、建築基準法の斜線制限を緩和する天空率で最大容積を確保し、加えて構造・設備の統合的設計により、矩形の効率的な貸床空間を実現しました。
容積確保でセットバックする外壁は天空率の工夫で極力道路に近付け、大きなガラススキンによって、店内の多種多様な賑わいが街に表出されます。
店舗を象る「屋根ひさし／袖看板」は、テナントの個性を通りに発信し、街ゆく人々の来店をいざないます。
これらの仕掛けによって演出される「界隈性」が周辺の横丁を想起させ、地域のオマージュと共に印象的なファサードとなりました。
小規模ながらも「池袋の立地×機能的な貸床」を求める店舗が集い、賑わいに溢れるダイナミックな街の風景となることを期待しています。

建築設計担当者

遠藤僚