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2018.07 「耐震改修技術の創出と普及」の功績で当社設計本部技術者がJSCA賞業績賞を受賞

一般社団法人日本構造技術者協会(JSCA)が主催する「第29回JSCA賞」で、当社設計本部鈴木裕美氏が「耐震改修技術の創出と普及」についての功績で業績部門業績賞を受賞しました。
当賞は、作品部門と業績部門が設けられており、業績部門の業績賞は、構造に関連した分野で、構造設計者あるいは技術者の職能向上や社会的活動の活性化に貢献した者、卓越した構造材料・構造システム・構造ディテール等を開発し、その普及に寄与した者、既往技術の一連の応用により、独自な建築構造を創出、あるいはその技術の普及に貢献した者を表彰するものです。
受賞技術の詳細については、下記の一般社団法人日本構造技術者協会(JSCA)のページから「受賞概要展示パネル」をご覧ください。

早稲田大学2号館(図書館)耐震改修


書棚となる鋼板補強構面
内藤多仲の思想を受け継いだ書棚と一体化

大正14年(1925年)に創建された早稲田大学図書館は数回の増築が行われ、耐震改修時には書庫併設の500人収容できる当時東洋一と言われた大閲覧室は會津八一記念博物館として生まれ変わり、東京都歴史的建造物に指定されていた。内藤多仲は創建時に「スチール・スタック・システムは鉄骨に依って組み立て、其の鉄柱に書籍及床の荷重を背負はしめたる堅牢な構造で蔵書の収容量の増大がはかれる」と示し、書棚と構造体の一体化を図っている。その思想を継承して書棚となる鋼板補強構面を考案し、蔵書数を減らすこと無く改修を実現した。

所在地 東京都新宿区
改修設計 大成建設株式会社一級建築土事務所
総合監理 早稲田大学キャンパス企画部
主要用途 博物館、図古館

千葉県民業会館耐震改修


外部フレーム補強
創建当時の美しい水平性のデザインに調和する外部補強とガラスを利用した補強

千葉県農業会館は松田平田設計事務所によって設計され、創建時「格調ある人間空間の構成に努めた」と、雑誌「新建築」に魅力あるモダニズム建築として掲載されている。補強は既存のRC庇による美しい水平性に調和するように、水平・垂直のH形鋼で構成する外部フレームをRC庇を介して配し、創建時のデザインを継承している。また、エレベーターホールの大きな窓を有する開放的な空間にはサッシを兼用するガラスを利用した補強構面を考案し、開放性と使い勝手を維持した。

所在地 千葉県千葉市
改修設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
主要用途 事務所

新宿区役所本庁舎免震改修


免震改修後の断面パース
内藤多仲設計の庁舎建築を免震改修によってそのまま耐震化

内藤多仲設計の庁舎建築を免震改修によってそのまま耐震化(太字)
免震改修は建物を丸ごと残せる究極の構法であるが、建物外周部にクリアランスが必要になることから敷地環境による制約が多い。内藤多仲設計による庁舎建築である新宿区役所本庁舎は繁華街にあり、敷地境界線との間隔が300mmしかないため一般の免震構造の採用は困難であった。この施工困難状態に対して100mmの曳家によってクリアランスを400mmに拡げた上で、小変位の免震システムでも高い免震効果を得るために、地震の大きさで切り替わるパッシブ切替型オイルダンパーを配する特殊技術によって解決した。

所在地 東京都新宿区
改修設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
主要用途 庁舎